「プラスチック削減」「脱プラ」の動きは日本でも近年大きく進んできました。レジ袋が有料化されたり、プラスチック製のストローやスプーンが使われなくなってきたりしていますね。では、なぜ今、そこまでプラスチックを減らさなければいけないのでしょうか…?
世界中で、年間に少なくとも800万トンのプラスチックごみが海に流出していると言われています。この800万トンという数字は東京ドーム約7個分にあたります。それにより、2050年には海の中に存在するプラスチックの重量が魚の重量を超えるとも予測されています。
海に流れ、細かく砕かれたプラスチックはマイクロプラスチックと呼ばれ、既に魚たちはたくさんのプラスチックを食べて育っています。驚くべきことは、プラスチックを食べているのは魚だけではないということ…。私たちは1週間でクレジットカード1枚分、1ヶ月ではハンガー1本分のプラスチックを食べているというのです。
使用したプラスチックをゴミにせず、循環させるための回収サービスをご紹介します。
資源プラの回収サービスの中で、最も普及しているものの1つがペットボトルキャップの回収ではないでしょうか。学校や会社のゴミ箱、街中の自動販売機の近くでペットボトルキャップ専用の回収箱を見かけることも多いと思います。
日本エコキャップ推進協会によると、ペットボトルキャップの回収には
① リサイクルの促進
② CO2の削減
③ 発展途上国の医療支援
④ 障がい者・高齢者雇用促進
の4つの目的があります。特に、回収されたペットボトルキャップの売却益による寄付による社会貢献の側面は大きく、これまで日本の主要な回収業者から国内外の医療機関や被災地へ行われた寄付の総額は7億円以上です。
NPO法人 世界の子どもにワクチン 日本委員会では、ペットボトルキャップ回収による利益を途上国の子供のための医療支援に変えることのできる回収業者一覧を掲載しています。飲み終わったペットボトルは、ラベルをはがして分別し、キャップは回収する。そのひと手間が、地球と社会のために私たちが出来る大事なアクションなのです。
もちろん、まずはマイボトルを持ち歩き、できるだけペットボトルを使わないということも忘れてはいけません!
使い捨てコンタクトのケースは、メーカー問わず全てポリプロピレンというリサイクルに適した素材で作られています。尚且つ、衛生面に注意して作られ、使用後も汚れることがほとんどないので資源としてはもってこい。毎日2個ずつ、1年間にすると一人当たり730個の空きケースが出ることになります。塵も積もれば山となる。逆に言えば小さなアクションでも、日々積み重ねれば大きなプラスになります!
コンタクトレンズのアイシティでは2010年より、空きケースのリサイクル運動「アイシティ eco プロジェクト」を業界で初めて行い、これまでに378.42tのケースを回収しています。これは1048.23t(東京ドーム62.8個分)のCO2を削減したことになり、さらにリサイクルによる収益の全額8,840,424円を公益財団法人日本アイバンク協会へ寄付しています。
さまざまな企業での導入例も紹介されており、学校やオフィスで始めやすい取り組みです!
歯の健康のために欠かせない歯ブラシ。ですが、この歯ブラシが世界中でかなり問題になっています。
世界では年間約350万本のプラスチック製歯ブラシが販売されています。実は、様々なプラスチック製品の中でも、歯ブラシは特に分解されるまでの時間がかかり、約500年と言われています。
《画像引用:WWF – Aus Stef Mercurio》
ライオン株式会社とテラサイクルジャパン合同会社は、2015年より合同で使用済み歯ブラシの回収プログラムを行っています。
回収された歯ブラシは、埋立処理や焼却処理が行われることなく、植木鉢などの新しいプラスチック製品として生まれ変わります。これまで、全国789箇所の拠点で81万本以上の歯ブラシを回収しました。(2021年2月現在)このプログラムに参加すると集めた歯ブラシの量に応じて『テラサイクルポイント』がもらえ、集めたポイントは教育支援、地域支援などの寄付に換えたり、テラサイクル商品との交換ができます。
テラサイクルは、2001年にアメリカで創業し「捨てるという概念を捨てよう」という理念のもと、世界21ヵ国でリサイクルプログラムを実施しています。現状ではなかなかリサイクルされていない製品も無料で回収するプログラムを多く展開しているので、他にも身近に活用できる資源があるかもしれません!
また、歯ブラシも竹製や生分解性プラスチック線維で作られたものなど、環境負荷の低い製品も近年増えてきています。身近なところから『脱プラ』に取り組むことも重要です!
プラスチックはとても便利で万能な素材です。「プラスチックを使ってはいけない」ということではありません。けれど、世界中でプラスチックを巡る問題は非常事態となっているのも事実。
便利だからこそ、「それプラスチックの必要あるかな?」「他のもので代用できないかな?」と意識を持ち、必要なところでのみ最低限のプラスチックを使うことが大切です。そして、なるべく繰り返し使い、使い終わったらリサイクル。資源を無駄なく活用し、豊かな未来をこの先もずっと残していきましょう。
(ライター:鈴木さやか)
<参考資料・記事>
・「PLASTIC IGESTION」(WWF)
・「エコキャップ回収実績(2007年~)」(NPO法人エコキャップ推進協会)
・「世界の子どもにワクチンを 日本委員会」( EARTH JOURNAL)
・「アイシティ eco プロジェクト」(コンタクトレンズのアイシティ)
・「ハブラシ・リサイクルプログラム」(ライオン株式会社)
・「The lifecycle of plastics」(WWF Australia)
・「2021年も高まる“健康志向”ファミリーマートが提案するサステナブルな食生活 「大豆ミート」を使用した新商品9種を、1月12日(火)より発売!」(PR TIMES)
・「お肉のメーカーが、お肉を使用しない商品を開発!NatuMeat(ナチュミート)計5品 3月1日(日)新発売 」(日本ハム株式会社)
・「サステナブル・レストランを格付け 日本でも本格始動」(SUSTAINABLE BRANDS JAPAN)
・「食の未来を、デザインする 日本サステイナブル・レストラン協会」(日本サステイナブル・レストラン協会)