みなさんは、日本の再生可能エネルギーによる発電割合が世界第49位ということをご存知ですか?発電量では4位と順位は高いのですが、発電割合は未だ低いままです。
本記事では、環境に良い再生可能エネルギーについて、企業の取り組み事例を含めて紹介します。とはいえ、
「そもそもどんな種類の再生可能エネルギーがあるのかわからない」
「再生可能エネルギーの導入メリットやデメリットは?」
と思う方もいらっしゃるかもしれません。そんな疑問を解消していきます。
具体的には、
・再生可能エネルギーの種類や特徴
・メリット・デメリット
・企業の取り組み事例
を紹介していきます。3分くらいで読めると思いますので、ぜひご一読ください。
そもそも再生可能エネルギーには、どんな種類があるのでしょうか。ここでは代表的な5種類について、わかりやすくポイントを紹介していきます。
太陽光発電は太陽の光エネルギーを使って発電していますので、火力発電のように限りある資源とは違い、事実上無尽蔵な資源と言われています。企業だけではなく、個人の住宅にも太陽光パネルを設置しているのをよく見かけるかと思います。
日本での太陽光発電の普及率は6.5%(2018年)と、再生可能エネルギーの中では高い普及率となっています。
風のエネルギーを電力に変えるのが風力発電です。
近年、環境負荷のかからないエネルギーとして注目を集めていますが、欧米諸国と比べて、平野部が少ない日本ではあまり導入が進んでいないの(日本の電源構成比率のうち0.7%)が現状です。
しかし、2030年のエネルギーミックスでは、1,000万kWの導入(電源構成比率1.7%)が見通されており(経済産業省 自然エネルギー庁)、2019年4月に新しい法律が施行され、日本でも洋上風力発電の利用拡大に向けた取り組みが進みはじめています。
水力発電は、高い位置から低い位置に水が流れるエネルギーを使い、水車やタービンを回して発電する電力で、開発から運用、廃棄までのライフサイクル全体を考慮した際のCO2排出量が最も少ないエネルギーです。
1960年代まで水力発電が日本の主要電源でしたが、現在は電源構成比率は7.6%となっています。
水力発電と聞くとダムを想定しますが、近年は上下水道や農業用水を利用した中小水力発電も行われています。
特に設備投資にかかるコストも少なく、相応の水量と段差がある場所なら導入できる小水力発電は、CO2排出量が低く、発電効率がよいことから、近年注目が高まり、自治体や企業、NPOの導入に対し助成金が設定されています。
地熱発電は、地球内部の熱(中心部約6370kmの深さでおよそ5000~6000℃)のうち、地表から数km以内に存在する利用可能な熱エネルギーを使用します。地下深部から取り出す熱水の蒸気を利用して、タービンを回し、電気を作ります。
化石燃料を使わないのでCO2を排出せず、地球温暖化防止に有効な再生可能エネルギーとなっています。
日本には2347万kW(発電量換算)と、世界第3位の地熱資源があると言われていますが、今まで原子力発電や石炭発電のほうが発電コストが安いとされていたので、発電施設の建設は進んでおらず、その電源構成比は0.2%ほど。
しかし政府は、2030年度までに地熱発電で、現在の3倍にあたる150万kWの発電を目標としており、すでに全国100ヵ所ほどで調査・発電所建設が始まっています。
バイオマスとは「有機資源」のことを指し、バイオマス発電とは
・生ゴミ
・家畜排泄物
・廃材
・植物
などを燃やして発電する方法です。有機資源を燃やして発電をするので、仕組みは火力発電と変わりありません。燃やすのでCO2も排出しますし、運搬時にもCO2を排出するので他の再生可能エネルギーとは少し異なります。
しかし、有機資源は枯渇することなく、本来捨てていたものを利用するので、再生可能エネルギーの分類となります。再生可能エネルギー全般の特徴としては、やはり資源が枯渇しないという点にあります。
企業における再生可能エネルギー導入の3つの事例を紹介します。
イオンは「イオンecoプロジェクト」と称し、2020年度までに
・2010年度比でエネルギー使用量50%削減を目標に、既存店舗に省エネ設備を積極的に導入
・太陽光発電を中心とした、20万kWクラスの再生可能エネルギーを創出する設備を導入
を目標にすると発表しています。再生可能エネルギーの目標の20万kWは、一般的な家庭の約4万5千世帯分の年間電力に相当しています。
富士フイルムホールディングスは、2030年度に購入電力の50%を再生可能エネルギーへ転換し、2050年度には購入電力の100%を再生可能エネルギ―由来電力にすることを発表しています。
この目標を達成すれば、自家発電と購入電力合わせて全てのエネルギーでCO2排出がゼロになる予定です。
ソニー銀行が行なっている取り組みは、「環境価値の購入」です。ソニー銀行では、
・2008年より、「グリーン電力証書」の発行をうけ
・2013年より、「J-クレジット制度」を活用し
・2018年より、「グリーン(熱)証書システム」へ切り替え
使用したすべての電力にかかるCO2を100%オフセットしています。
「グリーン電力証書システム」とは、自然エネルギーにより発電された電気の環境付加価値を、証書発行事業者が第三者認証機関(一般財団法人日本品質保証機構)の認証を得て、「グリーン電力証書」という形で取引する仕組みです。
「グリーン電力証書」を購入すれば、その費用は再生可能エネルギーの発電設備の維持・拡大などに利用されるので、証書に記載された電力量(kWh)相当分の自然エネルギーの普及に貢献し、グリーン電力を利用したとみなされます。
つまり、実際に発電設備を持っていなくても、再生可能エネルギーの普及に貢献できるのです。
本記事で紹介した再生可能エネルギーの種類・メリット・事例をまとめます。
再生可能エネルギーには太陽光や風力といった発電方法があり、
・資源が枯渇しない
・地球温暖化の原因となるCO2排出量が少ない
といった点でメリットがあります。そして、企業の取り組み事例としては、3つの企業の事例を紹介しました。
・実際に太陽光の設備を導入し、同時に現在のエネルギーも削減する
・購入電力を再生可能エネルギーに転換する
・環境価値を購入する
企業の再生可能エネルギー導入は、太陽光パネルなどの設備を導入することだけが手段ではありません。自社の購入電力や環境価値について検討すること、現在のエネルギー使用量の削減を目指すことも、環境に対する取り組みにつながります。
結果として、その取り組みが企業価値の向上となるかもしれません。
未来のエネルギーを担う再生可能エネルギー、あなたの企業にも導入してみませんか。
(ライター:サイトウケイ)
<参考記事>
・「新法施行後、「洋上風力発電」に向けた動きは今どうなっている?」(経済産業省 資源エネルギー庁)
・「【エネルギー】日本の発電力の供給量割合[2018年版](火力・水力・原子力・風力・地熱・太陽光等)」(Sustainable Japan、株式会社ニューラル)
・「小水力発電とは?」(全国小水力推進協議会)
・「小水力発電が低炭素エネルギー社会の未来を拓く」(三井住友ファイナンシャルグループ)
・「バイオマス発電の3つの課題-燃料調達、分別、CO2-」(IT media)
・「日本は世界3位の地熱資源大国なのに発電所建設が進まなかった3つの理由」(福田晃広、ダイヤモンドオンライン)
・「再生可能エネルギー導入目標を設定」(富士フィルムホールディングス)
・「環境活動 従業員の取組み カーボンオフセット」(ソニー銀行)
・「グリーン電力証書システムとは?」(日本自然エネルギー株式会社)
・「グリーン熱証書」(日本自然エネルギー株式会社)