コラムCO2削減

カーボン・オフセットの企業事例6つ メリット、必要性も!

2024.02.07

カーボン・オフセットとは?

​​カーボン・オフセットとは、人間の活動のなかでどうしても排出されてしまうCO2などの地球温暖化の主な原因となる温室効果ガスを、植林・森林保護・再生エネルギー事業など、他の場所(企業や自治体、法人団体)で削減・吸収する活動を実施することで埋め合わせる取り組みです。

温室効果ガス・CO2削減の手段として、近年世界中の市場で行われており、日本では2009年に環境省が認証基準を策定し本格的に始動。大手企業、自治体がカーボン・オフセットを提供する商品やサービスを開始し、各業界内での認知度、導入への検討は高まっています。

この記事では、企業で実施されているカーボン・オフセットの取り組み事例を取り上げます。メリット、必要性もあわせてご紹介しますのでご覧ください。

企業がカーボン・オフセットを実践するメリット

日本では企業がカーボン・オフセットに取り組まないといけない義務は法的にはありません。

しかし年々世界中で深刻化し緊張感が高まるさまざまな環境問題において、​​CSR(企業が果たすべき社会的責任)やサステナビリティに関する企業側の取り組みは、あらゆる分野で重要視されています。

​​では、企業がカーボン・オフセットを行うメリットは何でしょうか?

1.環境問題に責任ある企業として価値が高まる

CO2・温室効果ガスの排出削減と吸収を定量化した国認証のクレジット購入によって、環境保全へ取り組む企業として周囲に認知されるメリットがあります。

経済活動のために「自らが排出した温室効果ガスに対して責任を持っている」という企業姿勢はプラスでしかありません。

またブランディングの面でも、クレジットつき製品やサービスの販売や、CO2削減推進企業としてのPR活動も同時に行うことができるので、ステークホルダーに対して大きなアピールにもなり、ESG投資の視点からも経営に貢献するでしょう。

2.他社サービス・製品との差別化

カーボン・オフセットの企業においての実施は、競合他社との差別化につながります。

現在、あらゆる分野・業種で脱炭素や環境に配慮された商品やサービスが多く提供されています。そのなかで、カーボン・オフセットのような環境への取り組みを実践し付加することで、地球温暖化対策に貢献するとともに、独自の価値を打ち出すことができるでしょう。

3.ビジネス機会の獲得

さらに、2021年5月に成立した「地球温暖化対策推進法の一部を改正する法律案」では、CO2排出量の電子システムによる報告があらゆる企業に義務づけられました。

これによって、近年グローバルに活躍している大手企業は、取引先側にもCO2排出量削減・それにおいての自社の取り組み事例を求める傾向になっています。

カーボン・オフセットは取引先・株主などのステークホルダーに対してアピール力の高い取り組みの一つです。

カーボン・オフセットを実現する企業の取り組み事例

では、実際に取り組まれているあらゆる分野の企業のカーボン・オフセットの取り組みを見てみましょう。

事業活動でのオフセット

・allbirds オールバーズ合同株式会社
日本には2020年に上陸した、サンフランシスコ発のサステナブルなシューズメーカー。
オフセットプロジェクトとしては、長野県での植林活動、ブラジルの熱帯雨林保全、アルゼンチン再生型農業ウールへの資金投資、インド風力発電プロジェクトなどに投資し、カーボン・オフセットを通じ、CO2排出量削減への取り組みを行っています。

また最近では、前年比19%のカーボンフットプリント削減を実現し、オフセットに頼らない世界初のゼロカーボン・シューズも完成、今年春に発売予定ということです。

・住友林業株式会社
脱炭素事業・循環型森林ビジネスとして、​​森林ファンドを設立し、アジアを中心に世界中で森林や泥炭地を保護・拡大することで森林面積を広げています。他企業と連携し、カーボン・オフセットに貢献。

さらに戸建住宅建築に伴うCO2排出量のオフセットを、インドネシアで植林することにより実現しています。

会議・イベントでのオフセット

・日産スタジアム
神奈川県・横浜市にある日産スタジアムで行われるフリーマーケットでは、車で来場されるお客様と出店をされる方たちの車両1台につき、CO2排出量積算分50円の協力金を集め、排出した分の脱炭素へ向けてオフセットをしています。

フリーマーケット自体が不要品を再利用しようとする意思のもと行われているエコ活動なので、 それに関連する車からのCO2排出をどうにかできないか、 ということでカーボン・オフセットの導入を決定したといいます。

・ヒルトンホテルズ&リゾーツ
北海道から沖縄まで各地にある28のホテルを経営するヒルトンホテルズ&リゾーツ。各ホテルの宴会(婚礼を除く)、会議などで発生した温室効果ガスの排出量を計算し、その分の排出権を買い取り相殺しています。

オフセットの支援対象は、東北地方の森林育成やハンディキャップを持つ方が働く工場の燃料切り替えプロジェクト(排出枠をクレジット購入)。希望する会議主催者には証明書を発行し、また、食事のテーブルに置くメニュー表にはカーボン・オフセットの取り組みの説明を表記しています。

 

クレジットつき製品やサービスの販売

・オカムラ株式会社
オフィス環境事業や商環境事業、物流事業を行う株式会社オカムラ。

2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、オフィス製品の原材料調達から製造・輸送・廃棄までのライフサイクルを通じCO2の排出量を計算し、排出量と同等のクレジット付きの製品を顧客に提供する「カーボン・オフセットプログラム」を2022年1月より開始しました。これにより、対象製品であるオフィス用デスク、チェア、ワークブースや備品を購入することで、温室効果ガス削減活動に寄与することができます。

・ミドリ安全株式会社
ヘルメットや安全靴などの工業用品を製造するミドリ安全株式会社では、1着につき3kgもの温室効果ガス削減に貢献できる、認証マーク入りのカーボン・オフセットユニフォームを販売しています。※3kgのCO2というのは、自家用車が約12km走行時の排出量に相当。)

その他、環境負荷の少ないエコマーク取得商品を多数展開しており、商品を購入することで、気候変動対策に関わることができます。

「排出権取引制度」や、排出権(カーボン・クレジット)を利用したオフセットについてはこちらの記事でも紹介しています。
企業独自のカーボン・オフセット!商品・イベント事例と背景

カーボンオフセットの意義と必要性

2050年に向けての脱炭素、カーボンニュートラルの実現は、現段階としてカーボン・オフセットの活用なしでは困難ではあります。

個人レベル含め企業や団体は経済活動を行う以上、やむを得ず温室効果ガスを排出してしまい、さらに国や地域、企業規模や団体によっても温室効果ガスの排出量やその削減出力はさまざまです。

ですが、カーボン・オフセットは地球全体として温室効果ガス排出量を実質ゼロに向けるという意義があります。

(出典:Jクレジット制度 オフセットしたいと思う身の回りのCO2排出は? 2023年1月時点)

 

上記の消費者ニーズ調査の結果でも、可能な限りオフセットを希望する場面があることは明らかです。大小かかわらず多くの企業や団体は脱炭素化に向けた活動とともに、その新たな手段としてカーボン・オフセットを実施しています。

しかしこの埋め合わせに頼り続けることなく、並行してCO2排出量を減らす努力をし、脱炭素化に向けての実現方法として適切な取り組みを心がけることが大切です。

カーボンニュートラルに向けて、企業・個人レベルで実践可能な環境貢献、保全活動の一つとしてカーボン・オフセットをまず検討してみてはいかがでしょうか。

個人でも参加可能なカーボン・オフセット

カーボン・オフセットは、自治体や企業だけが取り組むべき活動ではありません。
個人でも、普段の生活から

・車の運転を控えて自転車や徒歩、公共交通機関で移動 (1日200g以上削減)
・使用時以外は主電源を切り、待機電力の削減 (1日100g以上削減)
・冷暖房機器にできるだけ頼らない (1日90g削減)
・シャワーの時間を1分でも短く (1日70g削減)
・家庭の照明をLEDに (1日45g削減)

というような小さなアクションを起こすことで温室効果ガス・CO2削減に取り組むことができます。

しかしやむを得ずCO2が排出されてしまうことは事実であり、その際に個人でも身近にカーボン・オフセットに接する機会を作るため、インターネット上で投資・寄付ができるサービス「Wren」をご紹介します。

Project Wrenは、「だれもが環境問題対策に取り組める」ことを目的としており、個人で排出されるCO2および温室効果ガスの量を計算し、その量に応じたオフセット活動ができる投資プロジェクトです。

まずサイト上で自動車や飛行機の使用頻度、食生活の傾向など、いくつかの質問に答えて、自分自身が日常で排出している温室効果ガスの量を計算します。そして自身の排出量に合わせ、どの程度のオフセットをするか選択し、投資プロジェクトとして、植林やアマゾン、森林保護などの中から希望のオフセット活動を選ぶことができます。

Wrenは国外サイトなので英語表記ではありますが、投資金は日本円を含むさまざまな通貨に対応しているので、世界各国からカーボン・オフセットに参加することができます。

個人がどれだけ温室効果ガスを出しすぎているのかを数字で把握し、自分の生活が環境に与える影響を可視化することが可能になります。

そこで終わることなく、自らその環境負荷を減らせる仕組みは、個人で温暖化対策を進めるうえでさらに広がっていくでしょう。

(ライター:井尻 水晶)

〈参考資料〉
カーボンオフセット|農林水産省
カーボンオフセットガイドライン|環境省
​​J-クレジット制度及びカーボン・オフセットについて | 地球環境・国際環境協力 | 環境省
all birds オールバーズ|サステナブルな取り組み:カーボンオフセット
カーボンオフセットの取り組み|オフィスと暮らしの進化を支える大丸株式会社
住友林業 |WOOD CYCLE
日産スタジアム|カーボンオフセット/社会貢献活動
カーボンオフセットプログラムミーティング&イベント|ヒルトンホテルズ&リゾーツ
SDGs サービスでの取り組み GREEN WAVE|オカムラ株式会社
ミドリ安全株式会社|地球温暖化を防ぐカーボンオフセット
Wren : Systemic change starts with you

 


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