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コラムCO2削減

石油燃料からのダイベストメント(投資撤退)の波!日本企業や世界の事例は?

2020.10.12

みなさんは、ダイベストメントという言葉を聞いたことがありますか?インベスト(投資)と反対の語であり、投資撤退という意味です。

近年、世界的な潮流として、石炭や石油企業に関する投資から撤退する動きが出ています。今回は、そんな石油燃料からのダイベストメントについて、そもそもの意味や背景、具体的な事例などを解説していきます。

 

石炭や石油企業からのダイベストメントとは?

前述の通り、ダイベストメント(divestment)の意味とは、投資を撤退すること。本来は、自身の持ち株や債券などの金融資産を引き揚げる際に使用します。

身近なところで言えば、私たちが銀行口座へお金を預けることも、「投資」の一部であり、この問題に関係しています。すなわち、預けたお金を介して銀行に不本意な使われ方をしていれば、みなさん自身でもダイベストメント、つまり投資の撤退を検討できるということです。

今回の内容では、主に石炭や石油など地球環境に対して悪影響を及ぼす産業についてのダイベストメントがテーマとなります。

ダイベストメント(投資撤退)の波とその背景

野村証券の証券用語集では、ダイベストメントの意味の中で、次の内容が追記されています。

『投資判断の際「ESG」を重視する考え方が広がり、(中略)環境や社会、健康に害を及ぼすとされる企業への投資撤退や取引中止の動きが、欧米を中心に活発化している。』

つまり、ソーシャルグッドでない企業への投資が引き揚げられているということですね。例えば、

●石炭や石油など多くの化石燃料を排出している
地球環境や自然の破壊へつながる行為
●社会にマイナスのインパクトを与えていること

といったマイナスな影響を及ぼしている企業などです。そもそもこうした動きの背景が起きたのは、やはり世界的な地球環境への問題意識でしょう。

持続的な開発目標SDGsが策定され、投資の世界では、環境・社会・ガバナンスに配慮する企業を選ぶ「ESG投資」も重要視されています。こうした背景を考えると、化石燃料を推進している企業などからのダイベストメントは、ある意味、必然なのかもしれません。

日本企業や世界での実際の事例

まず、そもそも「投資を撤退するのは誰なのか」という前提の部分にも触れておきます。

それは、政府などの公的機関から、大学や宗教団体などの機関、投資ファンドなどの財団、金融機関など会社単位のところもあります。こうした運営主体においてダイベストメントの波が起きています。

では、実際にどのような事例があるのか紹介していきます。

日本の事例:引き揚げの対象となる企業

日本では、残念なことに、投資撤退の対象となる企業が多いように感じられます。つまり、世界的な流れに逆らい、化石燃料へ投資していたり、気候変動を促進する産業に使われているということです。

2019年に、「石炭産業に投融資する世界の金融機関に関する報告書」が発表されました。このランキングによると、2017年から2019年の間、金融機関による石炭火力発電開発企業への投融資額において、日本のメガバンクがトップ3を占めていることがわかります。

また、電力・エネルギー会社そのものも、引き揚げの対象となっているようです。ノルウェー政府の年金基金では、石炭火力発電の高い電力会社からの投資撤退をしており、日本の電力会社6社も含まれています。

別の文脈で言えば、たばこやアルコールといった産業からも撤退する動きがあり、そういった分野の日本企業も投資対象先から外されています。

日本はこうした分野において、後進国と言わざるを得ないかもしれません。ただ企業側も投資家へ説明する場を設けたり、情報を開示する機会を作ったりと、うまく折り合いをつけていく必要があるでしょう。

世界の事例:ノルウェー政府の年金基金

ノルウェーでは、こうした地球環境に関する取り組みにおいて、国として積極的に取り組みを行っている特徴があります。

2015年のノルウェー国会では、年金基金から石炭関連の産業に投資しない方針を決めました。これに伴い、ノルウェー政府の国富年金ファンド(GPFG)の運用を担っているノルウェー銀行は、石炭企業の世界52社を投資先から排除する動きが取られました。

ダイベストメントの事例は、大学の機関や宗教団体といったものもありますが、ノルウェーでの事例のように、国として推進されていれば、やはり動きが早いように思われます。

ダイベストメントの中で私たちができること

こうした問題は、規模が大きいがゆえなかなか問題意識を持ちにくいもの。

しかし、身近な銀行がどんな産業へ投融資しているのか、投資撤退されてしまった日本の会社にはどのような企業があり、なぜ外されたのか、こうした身近なことを知ることが重要です。新聞やニュースの記事を見てみる、知人や友人にシェアしてみる、まずは「知る」ことから始めてみましょう。

そうして、「自分はダイベストメントに賛成だ」という意見を持つのであれば、実際に自分の銀行口座についても考え直してみる機会に繋がるでしょう。普段購入する商品も意図的に変化してくるかもしれません。

個人ひとりで、大きなインパクトを残すことは非常に難しいですが、意思表明は可能です。ぜひ私たちができることを考え、行動に移していきましょう。

みんなで投資撤退の課題を考えよう

かんたんに記事をまとめます。

●ダイベストメントとは、投資を撤退すること
日本の銀行・電力会社などが、引き揚げの対象となっている
●海外の年金基金や投資家は、積極的にダイベストメントを行なっている
●ダイベストメントについて知ること、身近にできることを考えることが重要

今回の記事では、特に日本企業は投資撤退の対象となっていることを挙げました。

しかし、日本の地理ゆえ他国と比べて国際連携が取りにくいこと、地震大国でもありエネルギー確保の課題が複雑なことなど、こうした難しさもあるのは事実でしょう。もちろん地球環境に良いことに越したことはありませんが、どうすれば日本も課題をクリアできるか、バランスの取れた策はあるのか、全員が当事者となり、考えていく必要があるかもしれません。

 

(ライター:サイトウケイ)

 

<参考資料・記事>

Banks and Investors Against Future: NGO Research Reveals

NO! 化石燃料「投資撤退」を表明しているのは?

日本経済新聞「たばこに化石燃料、投資撤退の波が襲う」

日本経済新聞「電力会社向け投資撤退も」


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