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インパクト評価とは?自治体や団体の取り組み事例とともに解説!

2020.03.20

インパクト評価

SDGs 達成に向けた社会貢献が期待される今、その当該事業や活動の結果として生じた社会的、環境的な「アウトカム」を定量的・定性的に把握し、価値判断を加える「インパクト評価」に注目があつまっています。

そこでこの記事では、

・そもそもインパクト評価とは何か?
インパクト評価の目的と課題
・実際の取り組み事例

を順に解説していきます。インパクト評価という新しい考え方についてわかりやすくまとめてみましたので、ぜひご覧ください!

そもそもインパクト評価とは何か?

内閣府はインパクト評価について

『社会的インパクト評価とは、社会的インパクトを定量的・定性的に把握し、当該事業や活動について価値判断を加えることです。ここで、社会的インパクトとは、短期、長期の変化を含め、当該事業や活動の成果として生じた社会的、環境的なアウトカムをいいます』

と定義しています。少し難しい言い方をしていますが、わかりやすく説明すると、

ある事業や活動を通して、得られた(生み出された)

・変化
・効果
・社会的な価値

を目に見える形で、把握すること。そして、ただ結果を可視化するだけでなく、検証し、次につなげようとすることです。では、どのような手法で行うのかですが、それには4つの分析モデルがあります。

①事前と事後での結果を比較する

 例)途上国の教育に関するプログラムの評価

②長期的な時系列から、施策前と施策後のトレンドを把握する

 例)飲酒運転を撲滅するためのプロジェクト効果

③一般的な指標と調査対象を比較する

 例)全国と、ある一つの地域での犯罪件数の比較

④近似のグループを選定し、インパクト評価を行う

 例)5つの県での地方分権化プロジェクトの実施・比較

その他にも評価ガイドラインやツールなどもあります。

社会変革推進財団では、2013年に当時のG8 サミット議長国であったイギリスのキャメロン首相の発意で設立された、「G8インパクト投資タスクフォース」を元に、2015年G8以外の各国に拡大した「Global Steering Group」を運営する日本の国内諮問委員会が発信している「社会インパクト評価ツールセット」を公開しています。興味がある方は、こちらもぜひご覧になってみてください。

なぜインパクト評価が必要?目的と課題

インパクト評価の本質的な目的は、社会的な課題を解決することです。なぜなら、インパクト評価には、

・資金の提供者に対する説明責任(メッセージ)につながる
事業や組織に対する理解が深まる
・結果的に組織力の向上にもなる

という可能性が秘められているからです。単純にプロジェクトや活動を「評価する」という考え方ではなく、評価によって価値を生み出し、社会的な課題を解決することが重要です。

しかし、課題も同時にあります。

・現場や資金提供者の理解不足
・そもそも定量的に評価が困難なものも存在すること
・「評価(結果)」に意識が向いてしまうこと
・的確な評価を実施できる組織や大学・シンクタンクが少ないこと

こういったようにインパクト評価には、まだ改善の余地があります。

インパクト評価の実際の取り組み事例

インパクト評価

実際の取り組みとして、3つの事例を紹介します。

①神奈川県の取り組み

平成30年度より、神奈川県は都道府県として唯一「SDGs未来都市」「自治体SDGsモデル事業」の両方に選定され、平成30年度から「SDGs社会的インパクト評価実証事業」を実施しています。SDGsという大きな課題に対しても、インパクト評価が有効だからです。

この効果としては、

・SDGsの活動を定量的・定性的に把握できる
評価結果を活かして市場からの投資を呼び込む

ことにつながります。神奈川県は、SDGsに対してインパクト評価という先進的な取り組みをしています。

②公益社団法人 日本劇団協議会の取り組み

日本劇団協議会では、「8つの社会包摂プログラム」とインパクト評価を実施。インパクト評価を行ったことで、実施したプログラムの定量的な成果の把握とデータの収集ができたとのことです。

結果的に、協働先との関係構築にも結びつきました。

③社会的インパクト・マネジメント・イニシアチブ:SIMI

こちらは、インパクト評価そのものを推進する団体です。

社会的インパクト・マネジメント・イニシアチブは、社会的インパクト評価に関する情報を集めたサイト「社会インパクト・マネジメント・イニシアチブを運営しています。

このサイトでは、ゴールドマン・サックスなど企業から、特定非営利活動法人さいたまNPOセンター、サイトウ・キネン・フェスティバル松本など、NPOや団体などの多くの事例が紹介されているので、興味がある方はぜひご覧になってみてください。

このSIMIの運営メンバーには、有名企業も含め数多くのメンバーが集まり、社会的インパクト評価を広く普及させるために活動しています(このサイト「Operation Greenを運営する一般社団法人Earth Companyも運営メンバーです)。

最後に

この記事では

・インパクト評価とは、事業や活動の変化や効果を把握し、検証すること
目的は、社会的な課題を解決すること
・様々な分析モデルや手法がある
・事業の理解向上や組織の関係構築につながる
・インパクト評価の3つの取り組み事例

を紹介してきました。インパクト評価に興味があれば、ぜひこの仕組みを活かして、社会を良くする活動につなげていきましょう!

(ライター:サイトウケイ)

<参考記事・資料>

・「演劇による社会的包摂プロジェクト 調査研究報告書」(公益社団法人 日本劇団協議会)

・「社会的インパクト評価 ツールキット」(新日本有限責任監査法人)

・「インパクト評価事例集」(評価学博士 佐々木 亮)

・「SDGs社会的インパクト評価実証事業」(神奈川県)


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