青春の大切な思い出の一コマである文化祭は、チケット・ポスター・飲食容器など、ごみが沢山出てしまう学校行事でもあります。ところが、2019年に複数の企業と学校が「持続可能な社会の実現」をテーマに集まった「超文化祭」では、ごみを出さない文化祭を生徒が発案・実現させることができました。
ごみゼロ文化祭はどのように実行されたのか、電子チケット・オンライン投票システムの開発を行った当時三田国際学園で「チーム歌舞伎」メンバーだった大学生の根岸 媛子さんと傳 実結さんにお話を伺いました!
*この記事は、生徒と繋いでくれた新渡戸文化学園教員の芥隆司先生に補足いただきつつ、新渡戸文化学園の生徒、そして現在Operation Greenのプログラムを導入している男子・女子聖学院中高の生徒と教職員も一緒にお話を聞きました。
1. 試行錯誤で生徒や先生を巻き込みながらプロジェクトを創る
2. 高校生で挑戦した経験は自己効力感となりずっと生きる
3. 生徒のまずはやってみよう!という気持ちを支える学校の空気感やサポートも大切
当時、生徒の興味をプロジェクト化する芥先生の実践的な数学の授業を受けていた根岸さんと傳さん。超文化祭の企画を知り、環境問題と文化祭を組み合わせてみよう!と考えたのがきっかけでした。
「これまでの文化祭で沢山出ていた紙ごみを減らしたい」という想いから、生徒同士でアイディアを出し合い電子チケット・パンフレット導入に取り組み始めました。なんと、たった1ヶ月の準備期間で6名の生徒が情報の授業で覚えたてのHTMLの知識を駆使し、チケットとして機能するサイトの構築を一から行ったそうです。
※実際のサイト
文化祭当日、来場者はまず受付担当の生徒が持つタブレットに提示されるQRコードを自分のスマホ等で読み込み、チケットサイトに飛びます。チケットサイトでは投票用のGoogle FormのURLと文化祭会場のマップが掲載され、PDF化されたパンフレットがダウンロードできます。このサイトにアクセスすると、チケット、パンフレット、ポスターなど紙が一切いらない、という仕組みです。
超文化祭は全ての場面で環境への配慮が徹底されていて、食べ物や飲み物は学食で使っている食器を活用、使い捨て紙皿・紙コップのごみも出ませんでした。各ブースでも持ち帰り再利用する模造紙や、ホワイトボード・プロジェクターを使って発表を行いました。
超文化祭で出た全てのごみ(次年度も使用予定)
毎日放課後学校に残り試行錯誤を繰り返し、どうしようもない時は情報科の先生を捕まえて質問攻めにするなど、色々な人の力を借りてごみゼロ文化祭をなんとか成功させたチーム歌舞伎の生徒たち。ひとりではなくチームで先生を巻き込んで挑戦したことが、1番大変だったけど1番楽しい経験になった、と語ってくれました。
文化祭当日、初めて会った他校生徒・教員、企業の方々にこの取り組みについて興味を持ってもらったことをきっかけに、プラスチックごみを回収して傘にリサイクルする、という企業とのコラボプロジェクトがスタート、後輩に引き継ぐことができたそうです。
ごみゼロ文化祭に興味を持つ他の学生へのメッセージとして、根岸さん・傳さんから次のような勇気づけられるコメントを頂きました。
「ごみってこんなに減らせるんだ!と自信が持てるようになった」
「超文化祭をきっかけに、自分達のまわりでも色々なことを変えていける、という自信にもなった」
「高校生の時にこのプロジェクトをやったので、大学生になった今でも大きな一歩を踏み出せるようになった」
「意外とやろうと思えばできちゃうので、やるしかないと思う。学生という特権を活かして、色々な大人だったり、先輩・後輩の力を借りてちょっと大きめのことをやって欲しい」
また一緒に話を伺った先生や生徒からは、こんな感想もいただいています。
芥先生「最終ゴールを決めたら絶対にやるんだ、という信念を持って必ず自分で手段を手繰り寄せていくところが、このチーム歌舞伎のすごいところ」
教員「これまで色々なことを乗り越えてきたからこそ生まれた、信頼関係やガッツの強さを感じた」
生徒「今から11月の文化祭での実施は厳しいと思っていたけど、やればできる、というエールをもらって励みになった」
生徒「これからも色々なことに挑戦していきたいと思えた」
生徒のやる気はもちろん、生徒主体性を支える学校の空気感やサポートがあったからこそ、ごみゼロ文化祭は実現できたと学びました。生徒だけではなく、学校・教職員に広く伝えていきたい、大切な沢山のヒントを共有してくださった根岸さんと傳さん、本当にありがとうございました!
<参考サイト>
・超文化祭