エシカル消費コラムエコスクール

学校のクラスTシャツをエシカル消費する!ムダな衣料ロスを減らすためにできること

2022.08.10

食品や衣料ロスを減らし、3R(リデュース・リユース・リサイクル)を推進する考え方である「エシカル消費(論理的消費)」の考え方が広まってきました。

今回着目したのは、運動会や文化祭などの学校教育イベントで作られる『クラスTシャツ』です全国の学校でクラスTシャツの制作は毎年のように行われており、それを着用することで生徒たちの団結力を高めていますよね。

しかし、そのようなお揃いのTシャツは、数日使用するだけなら「ファストファッション」と位置付けられないでしょうか?もちろんしっかりした素材で長く使用すれば良いですが、デザインが奇抜なため部屋着になるか、チープな素材ならそのまま捨てられることが多いようです。

誰にも着られず新品のまま捨てられる服は年間15億枚。そんな中、気軽に低価格な衣類を作って捨てることは、これから社会に出る子供たちにとって必要な経験でしょうか?

これを機に、日本の学生社会に浸透しきっている「クラスTシャツ」の是非や使い道について、一度立ち止まって考えてみませんか?

 

1.大量生産による衣料ロス問題

日本で使用されている洋服の98%が海外で作られているのをご存知でしょうか?

日本で企画された商品であっても、原料調達や生地・衣服の製造は全て海外で行われています。そうやって海外で作られた商品は船や飛行機など、お金と大量のエネルギー資源を消費しながら海を渡って日本まで輸送されます。

さらに、私たちが着ている洋服のほとんどは、環境に負担をかけてしまう、天然繊維のコットンや合成繊維のポリエステルという素材です。

コットンを育てるためには化学肥料による土壌汚染栽培による大量の水の消費、ポリエステルなどの合成繊維を調達するためには石油資源の使用と二酸化炭素の排出など、『環境負荷』をかけながら生産されています。

厚労省より発表されている、年間の『環境負荷の総量』でその実態が証明されています。この数字から、衣類や布製品の製造だけで莫大な量の環境負荷が発生していることがわかります。

しかし、こんなに環境に負担をかけながら作られているにも関わらず、大量生産によって衣類の価値が落ち、短期間ですぐにゴミとして捨てられてしまう現状があります。

流行りのファッションの移り変わりによって次々と大量生産されているせいで、消費者はどんどん新しい服を購入。「まだ新しいけど新製品が出たから」「もったいないけど安いから捨てても惜しくない」という理由で簡単に捨てられゴミになる、という悪循環に陥っています。

これこそが『ファストファッションの闇』です。

価格の安い洋服で簡単にオシャレを楽しめる便利さの一方、いつでも安く新しい服を手に入れられる手軽さがゴミを増やす原因を生み出しているのです。資源を大切にしていかなければならないこれからの時代に、このようなファストファッションの蔓延は『正解』とは言い難いのではないでしょうか。

〈参考資料・記事〉

サステナブルファッション(厚労省)
ゼロから学ぶファッションと環境問題

 

2.クラスTシャツの役割と必要性

クラスTシャツは1990年頃から普及し始め、統一したデザインのTシャツを学校イベントでお揃いで着ることは珍しいことではなくなってきました。

現在のクラスTシャツには「団結力をあげる」や「衣装としての見栄えを良くする」という役割があり、士気を高める重要なアイテムとさえ位置付けられています。そのため、クラスTシャツの制作は、一部の生徒にとって「作って当たり前」とさえ思われています。

しかしながら、悲しくもクラスTシャツは『イベント後は部屋着、もしくはゴミとして捨てることになることが多い洋服』でもあります。

ちなみに、全国でクラスTシャツを作ると想定したとき、実際どれくらいの枚数が1回のイベントで作られているのかを計算してみました。

例えば全国にある高校(約5000校)でTシャツを作る場合

30人クラス×4クラス×3学年=360枚

1校(360枚)×全国にある高校(約5000校)=180万枚

 

もし仮に、これが全てゴミになってしまったなら

360トン(1枚200g×180万枚)のゴミになるという計算です。

 

数日使用するためだけに作られたTシャツは、目立つように作られているため、全員が日常的に使い続けていけるデザインではないかもしれません。でも、みんなが今後も使用できるものを制作できたなら、すぐに捨てるのではなく大切に使い続けていけるはずです。

せっかく作るなら、生徒の気持ちも環境も大事にしたオリジナルデザインで、厚労省も推奨する循環型モデルを実現させていくことが学校教育としてふさわしいといえます。

〈参考資料・記事〉
クラスTシャツを制作するメリットとは? 

 

3.ゴミを減らすために3Rを意識してクラスTシャツを制作する

クラスTシャツといえば、奇抜なカラーと独特なデザインが特徴です。しかし、今後も使えるデザインにすることで、Tシャツの廃棄数を減らすことができるかもしれません。環境への負担を考えながらクラスTシャツを制作するためにはどうすればよいか、3R(リデュース・リユース・リサイクル)に基づいて考えてみましょう!

 

①リデュース(ゴミを減らす)

・長く使えるデザインを選ぶ

制作するTシャツの色やデザインを、私服でも着られるおしゃれなデザインにすることで長く使っていくことができます。例えばフォトTシャツや、シンプルな英文字入り、デザインのプロにデザインを依頼したものはどうでしょうか?

もしシンプル過ぎて生徒が物足りなさを感じるなら、つけ襟やバンダナをプラスすれば、他のクラスにはないオシャレなスタイルにすることもできます

奇抜さやインパクトのあるTシャツしなくても、衣装として目立たせる工夫はいくらでもあります。だから、「環境にやさしい」をコンセプトにTシャツを作ることを提案してみることをおすすめします。

 

・Tシャツを使わず他のグッズで統一感を持たせる

そもそもTシャツを揃えて購入しないという選択肢もあります。

オリジナルスポーツタオル・うちわ・リストバンド・ラバーバンド・フェイスペイント・キャップ(帽子)・カチューシャ・浴衣・サングラス・ミサンガ・靴下・メガホン・ヘアバンドなど

これらのグッズを使用し、使い捨てではなく長く使えるサステナブルなアイテムを意図的に選択している学校もあります。

 

②リユース(使いまわす)

・Tシャツを裏返して使用する

「クールに環境にコミットしたい」という想いと衣料ロスを減らす目的で実施された『リユースTシャツプロジェクト』では、Tシャツをリユースできないかを試行錯誤した取り組みがおこなわれていました。

まだ着られるのに捨てられてしまうTシャツを裏返しにし、そこに新たなデザインをプリントし販売。そうすることで、ゴミになってしまうはずだったTシャツをリユースし、Tシャツに第二の人生を与えました。

この方法を利用すれば学校教育の中でも、ご家庭に眠っている使われないTシャツを再利用することや、体育祭の時に使ったTシャツを裏返して文化祭で利用する、なんてことも可能です。

 

③リサイクル(再生利用する)

・リサイクルポリエステル素材のTシャツを使用する

クラスTシャツを作るなら、再生資源で作られた「サステナブルファッション」である、リサイクルポリエステル素材のTシャツがおすすめです。再生資源を利用した「サステナブルファッション」なら環境に優しい活動として受け入れられますし、エコ教育の教材としても申し分ありません!

また、この素材を推奨する際、大量生産で安く仕上げたTシャツのデメリットを一緒に話すことで、サステナブルファッションへの理解を深めることもできます。

 

・使わなくなった洋服をリサイクルに出す

洋服屋で購入したTシャツは古着屋に売ることができますが、オリジナルのクラスTシャツは捨てるしかない、と思っている方も多いでしょう。しかし、古着でワクチンというサービスを利用すれば、使わなくなった洋服をほぼ例外なくリサイクルすることができます。

洋服の送り方は、3,300円(税込)の専用回収キット(100着ほど梱包可能)を購入し、不要な洋服を梱包して送るだけ。日本全国から集められた洋服は海外に輸出され、カンボジアを中心に世界中で再利用されます。

さらに専用キットの売上金は寄付され、1回につき5人分のポリオワクチン代金に使用されるため、命を救う手助けをすることもできるのです。だから、作ったクラスTシャツに未練がなくなって不要になれば、捨てるのではなくこのようなリサイクル事業を利用するということを提案するのも良いでしょう。

 

4.これからはサステナブルな時代!

衣類について商品を購入する消費者がこれから考えるべきことは、廃棄を減らし3R(リデュース・リユース・リサイクル)に基づき、先のことを考えて吟味して商品を購入する意識です。

クラスでTシャツを揃えるのが悪いとは言いません。間違いなく思い出として心に残りますし、作る過程も楽しめるからです。しかしながら、低予算で抑えたTシャツ、インパクトの強いデザインのクラスTシャツだったら、数年後も着用している想像はつきにくいのではと思います。

友人と遊びに行くときなど、私生活で着る機会がなければ、結局はゴミになる可能性は高いですよね。もし他に着る機会のないまま捨てることになれば「もったいない」と思うでしょう。

でも、今後も着られる服なら大切にこれからも利用できるはずです。そのため、できるだけ生徒が納得できる方法で、今後もどうにかして使えるよう思考を巡らせるべきです。

もし生徒たちでよく話し合ったのち、従来のTシャツ作りをすることに決まったとしても、本当に必要なのか、今後も愛用していけるものかを十分に考えたという経験があれば、きっと持続可能な未来のためのチカラとなるでしょう。

(ライター:堀内 香菜)


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