コラムエコスクール

生徒主体のサステナブルな学校作りが聖学院中高・女子聖学院中高で始動中!

2022.11.04

普段は男子校と女子校それぞれで学んでいる聖学院駒込キャンパスの中学生・高校生の約60名が夏休みや放課後の時間を活用し、生徒主体でサステナブルな学校作りに取り組んでいます!アースカンパニーが提供する学校のサーキュラー化を伴走する実践型プロジェクト「オペレーション・グリーン」を2022年6月に導入してから、生徒たちは着実に学校に変化を生み出しました。2023年3月までのプログラムですが、折り返し地点となるこの秋までの生徒たちの活躍ぶりを紹介します!

「オペレーション・グリーン@聖学院」6月〜10月大まかな流れ

1. 地球規模の社会・環境問題と私たちの繋がりを学ぶ
2.
世界の学校事例から刺激を受け、聖学院の現状をアンケートでチェック
3. 聖学院のCO2排出量を可視化、各カテゴリーの「やるべき・やりたい理由」を整理
4. 廃棄物、CO2、水の3グループづくり
5. プロジェクトのアイディア出し、生徒主体&費用対効果を大切にプランを具体化
6. 学校管理職に発表・フィードバックをプランに反映させ、アクション開始

実践型プロジェクトオペレーション・グリーン」を導入した背景

これまでもSDGsに関係する個々の生徒活動が行われており、「生徒の活動や成長に光を当てる場面をもっと作りたい」と考えていた聖学院。聖学院駒込キャンパスの男子中高・女子中高と小学校の3校で連携してSDGsに取り組むプロジェクトを2021年度よりスタートさせてきました。

しかし、中高教員だけでそのプロジェクトの企画・運営・サポートを行ったところ、全てを教員だけで担うのは難しいという総括となりました。そこで、聖学院SDGs教育アドバイザーの聖心女子大学永田佳之教授の紹介を受け、

・持続可能な学校作りを企画するワークショップ
・環境に関する授業、情報提供
・学校の環境負荷の数値化
・外部パートナーとの連携支援
・導入組織間のコミュニティ作り

などのサポートがあり、生徒主体のサステナブルな学校作りを伴走支援するプログラム「オペレーション・グリーン」を2022年度より導入することとなりました。

フェーズ1:学びの時間

1. 地球規模の社会・環境課題と私たちの繋がりを学ぶ

6月、プロジェクトのキックオフ会として60名以上の生徒・教職員に対し、アースカンパニー共同創設者濱川知宏が「心に火をつける講演」を提供。オペレーショングリーンアンバサダーでもある永田佳之教授からの4つのP(Project, Peer, Play, Passion)の応援コメントも頂き、これからスタートするプロジェクトへの意欲を高める場となりました。

2. 世界の学校事例から刺激を受け、聖学院の現状をアンケートでチェック

60名以上の生徒が世界中の持続可能な学校事例を学び、聖学院でやってみたいアクションについてディスカッションしました。アンケート形式で、約30個のサステナブルアクションを聖学院は現在できているかどうかをチェック。学校からできることがこんなにあるんだ!と多くのインスピレーションを得て、生徒たちがワクワクする姿が印象的でした。

3. 聖学院のCO2排出量を可視化、各カテゴリーの「やるべき・やりたい理由」を整理

7月のプログラムでは、60名以上の生徒がCarbon Dashboard(独自のCO2排出量可視化ツール)とアンケート結果を通し、聖学院の現状と環境問題の繋がりについて把握。8つのアクションカテゴリーの内、優先して取り組むべき3つのカテゴリーを選ぶグループワークを実施。各アクションについて、「ときめく理由(やりたい理由)」と「やるべき理由」について意見を出し合いました。

フェーズ2:企画の時間

4. 「廃棄物削減」「CO2削減」「水保全」の3つのグループづくり

全体のまとめ役を担うアンバサダー生徒18名が、聖学院で今年度優先的に進めていく3つのカテゴリー(廃棄物削減、CO2削減、水保全)を決定。アンケートに記載されたチームメンバーの意見も尊重し、異なるカテゴリーでの共通点(菜園や意識改革)も発見しながら、とても民主的にカテゴリー決定が行われました。

話し合った内容をアンバサダー生徒からチーム全体約60名に発表。

レゼンテーションの準備期間は1週間に満たなかったにも関わらず、プログラムで学んだデータを最大限活用し、生徒自身でもさまざまな情報を調べ「なぜ廃棄物削減、CO2削減、水保全なのか」を自分達の言葉で説得力たっぷりに(時には笑いも交え)伝え、本当に素晴らしいクオリティでした!

5. プロジェクトのアイディア出し、生徒主体&費用対効果を大切にプランを具体化

その後、チームメンバー60名それぞれが廃棄物、CO2、水の3つのグループに所属した上で、具体的にそれぞれのアクションをどのように実行できるか「Why, Goal, By when, By/with whom, How」をベースに話し合い、全体に発表しました。「学校菜園」など、自由なアイディアが沢山出てきて生徒同士の交流も濃いものに。

再度アンバサダー生徒で集まりチーム全体で出したアイディアを整理し、学校管理職に発表できるよう具体的な企画にブラッシュアップ。アイディアを出すのは楽しくても、それを実行に移すこのプロセスが、産みの苦しみを体験できる「プロジェクト・ベースド・ラーニング」の醍醐味といえます。

フェーズ3:行動の時間

6. 学校管理職に発表、フィードバックをプランに反映させアクション開始

8月、具体的な企画をまとめた生徒たちは、学校の管理職に対しそれぞれの実行プランを発表し、管理職・教員からフィードバックを受けました。どのチームも「自分達でアクションを起こしたい」という生徒主体性は伝えつつ、経済的なメリット・デメリットもしっかりと調べ、色々な視点から客観的に企画を考え発表しました。 管理職の方々からは、「素晴らしい提案・気付きをありがとう」「調べて発表してもらったことを学校全体の意識改革に繋げたい」など前向きなコメントも!

発表後は、フィードバックを受け、それぞれのプランをアップデート。廃棄物(傘袋削減、PETボトル削減、フードロス、コンポスト)、CO2(再エネ導入、使用電力削減、菜園)、水(無添加石鹸、節水啓蒙活動)の9つのプロジェクトが、9月から最初の一歩を踏み出しています!

アースカンパニーはこのプログラムの伴走者として、生徒からの質問に随時答えたり、オペレーショングリーンの「Techパートナー」(環境問題解決のソリューションとなるプロダクトやサービスを提供する企業・NPO)との個別ミーティングの中で導入サポートを提供しています。

連携中Techパートナー事例

  • 廃棄物 コンポスト:LFCの代表たいら氏と具体的なコンポストのやり方・考え方についてアドバイスをいただく場を設定。学校ではその後、コンポストバックを購入。11~12月でコンポストを実施、完成した堆肥は2月に菜園チームの土づくりに活用予定。
  • CO2 再エネ:みんな電力と2回校内発電について詳しい情報提供をいただく機会を設定。校内発電はコストや長期契約が必要で慎重な判断が必要なため、生徒たちの本気のプレゼンに向けて、再度ミーティングを設定予定。
  • CO2 菜園:Edible Schoolyard Japan(ESYJ)の共同代表和代氏と学びある菜園づくりについてアドバイスを頂く場を提供。ESYJが管理する日本橋の屋上農園Edible Kayabaenに菜園チーム生徒が見学しインスピレーションを得る機会をつくりました。
  • 水 無添加石鹸:エスケー石鹸の廃油リサイクル無添加石鹸を紹介。学校で購入、11月から試験的に導入予定。水質環境教育の授業+石鹸作りワークショップを受ける機会づくりをサポート。
  • 水 節水啓蒙活動:雨水市民の会理事の方々に来校頂き、聖学院の雨水利用の現状と可能性についてアドバイスを頂く場を設定。雨水タンク作りを学校でも実施できるか検討中。

生徒の主体性を支える学校の姿勢

生徒がやりたい!と声を上げたのは、9つのプロジェクトになりました。常に中心にいるのは生徒です。忙しい学校生活を送り男子校と女子校で学期制も違う中、自分達で時間を見つけて連絡を取り合いながら活動を進めています。プレゼンの質の高さだけでなく、教員・アースカンパニー・Techパートナーへの確認事項を洗い出して、壁をひとつひとつ乗り越えていく姿から、社会で通用するスキルをしっかりと身につけていることが分かります。学校から始める持続可能な社会作りの実践に、生徒たちは本気です。

そんな生徒たちと同じくらい本気なのが聖学院の顧問の先生たち。学校横断プロジェクトということで時間確保や学校の条件把握だけでも大変な中、生徒の主体性を尊重しながら、なるべく形にできるよう教員から的確なコメントを9つのプロジェクトに随時提供しています。一番最近のセッションでは、聖学院が入試にも採用しているレゴ®シリアスプレイ® を児浦良裕先生のファシリテーションで実施。生徒の各プロジェクトへの集中が進む中、全体に共通するゴールや「つながり」を見つめ直す時間になりました。

聖学院中高でのオペレーション・グリーンでは、学校と一緒に生徒の主体性を育みながら、持続可能な学校作りに向けて生徒中心の活動が着実に芽を出しはじめています!

聖心女子大学永田佳之教授からメッセージ

“聖学院の若者たちにこれからの学びには「4つのP」, つまりプレイとプロジェクトとピアーズ(仲間)とパッション(情熱)が大切だとお伝えしたことがあります。これらは通例の「勉強」にはなかなか見られない要素ですが、サスティナブルな学校づくりプロジェクトがスタートしてから、見事に遊び心を抱きつつ仲間と共に情熱と希望をもって活動を展開している姿に心打たれます。まだ折り返し地点ですが、後半戦も楽しみでなりません。これまで通り丁寧に、そして時には大胆に!挑んでください : )

 


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