オフィスでは、機密文書を破棄するためにシュレッダーが頻繁に利用されます。ただ、そのシュレッダーを利用することは果たしてエコな処理方法なのでしょうか?
この記事では、
・シュレッダー処理と溶解処理について
・コスト面と環境面から見る違い
・溶解処理など実際のサービスを紹介
を順番に解説していきます。みなさんのオフィスでも実際に取り組めることがあると思うので、ぜひ読んでみてください!
そもそも文書を破棄する際にどんな方法があるのか。そしてその方法は環境に良いのか、そんな観点で解説していきます。
まずは、シュレッダー処理です。
シュレッダーのメリットは、自社で機密書類を破棄できるため安心感があること、また空いた時間で手軽に処理できることがあります。
しかし、シュレッダーで処理された紙は、紙繊維が細くなるため紙の原料として使える部分が少なくなってしまいます。そのためシュレッダーゴミは基本的にリサイクルできず、焼却されてしまうのが現状です。つまり、二酸化炭素の排出につながってしまうということです。
次に、溶解処理という方法があります。
破棄する文書を溶解炉で溶かし、パルプへと再資源化するやり方です。シュレッダー処理から出たゴミとは違い、100%リサイクルできるのが溶解処理のメリットとなります。溶かした資源は、
・製品のパッケージ
・ダンボール
・トイレットペーパー
といったものに生まれ変わります。
また、回収をした第三者が開封せずにダンボールごと溶かしてしまう「直接溶解処理(未開封溶解)」であれば、情報漏洩の心配もありません。バインダーやクリップといった細かいゴミも気にしなくていいので、手軽に任せることができます。
溶解処理は、シュレッダー処理よりも環境に良いということがわかりましたが、実はコスト面でも優れているのです。
東京レコードマネジメント株式会社は、文書1kgあたりの処理コストをこのように比較しています。
・機密文書溶解処理サービス:60円 / kg
・シュレッダー費用:307.5円 / kg
この比較によると、シュレッダー処理のコストの方が5倍も高くなっています。
ちなみに、シュレッダー費用には「人件費・ゴミ処理代金・シュレッダー機器代」が含まれています。前提条件によって変化してしまいますが、環境にも良く、コスト面にも優れていれば、溶解処理を検討する余地は十分にあるのではないでしょうか?
実際にシュレッダーゴミを出さず、環境により良い処理をするためには、やはり「溶解処理」を依頼することが手っ取り早く確実な方法です。そのため、ここでは大手2社のサービスを紹介します。また、シュレッダー処理でもリサイクルに繋げられるサービスもあるので、その例も見ていきましょう。
クロネコヤマトの宅急便で知られるヤマトグループが手がけるのは「機密文書リサイクルサービス」。こちらは溶解処理を請け負うサービスとなっており、特徴は次の3点です。
・カンタン処分
・全国どこでも回収
・完全溶解
回収した機密文書を、未開封のまま100%溶解処理をするため、情報漏洩の心配もありません。また、ヤマトグループが持つ宅急便の交通網を生かし、回収も迅速で非常に安心感があります。
コストの比較で触れたように、シュレッダー機器の導入や維持費用、その人件費やかかる時間と比べても試す価値があるでしょう。
日本郵便でもヤマトグループ同様「書類溶解サービス」を提供しています。ヤマトグループと基本的なサービス内容は同じで、回収した文書を日本郵便指定の溶解工場へ配送し、専用箱丸ごとに処理をするという流れになっています。
日本郵便の場合は、回収に来るのではなく郵便局の窓口へ直接持ち込むため、個人の顧客が多いようです。
処理された資源はトイレットペーパーなどに生まれ変わるため、環境により良い処理方法となっています。
パピルスネットワークが提供するのは「出張裁断(シュレッダー)サービス」です。「シュレッダー処理」に変わりありませんが、リサイクルにつながるやり方となっています。
通常よりも20~50倍も速い大型シュレッダーを搭載したトラックが顧客の元まで出向き、面前で文書の破棄をします。裁断処理された古紙は製紙原料会社へ運び込まれ、圧縮・梱包後、トイレットペーパーなどにリサイクルされます。
シュレッダー処理でもエコにつながる処理方法ですが、デメリットも存在します。敷地内にトラックが駐車できるスペースが必要な点、屋外(トラック内)で開封するため漏洩リスクがないとは言い切れない点、この2つがデメリットとして挙げられます。
ただ、オフィスにシュレッダーがない会社や迅速に裁断したい場合にはぴったりのサービスと言えるでしょう。
かんたんにまとめます。
まずは、そもそものゴミの量を減らすことへの意識が重要ですが、機密文書はどの会社でも必ず出てきてしまいます。
そういった文書を、シュレッダー処理でするだけはなく、リサイクルするという選択肢を持つのはどうでしょうか?
ぜひ明日から会社のシュレッダーゴミを減らしていきましょう。
(ライター:サイトウケイ)