「アップサイクル」という言葉を聞いたことがありますか?
アップサイクルとは、不要となったモノに手を加え、価値を吹き込み、別の商品へと生まれ変わらせること。サステイナブルが求められるこの時代において、非常に重要な考え方です。
今回の記事では、
くわしく説明していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
一般社団法人日本アップサイクル協会によると、「アップサイクル(Upcycle)」の意味を次のように定義しています。
『もともとの形状や特徴などを活かしつつ、新しいアイディアを加えることで別のモノに生まれ変わらせる』
続けて『”ゴミを宝物に換える”サスティナブルな考え方』と補足しています。
これはリユースやリサイクルとどう違うのでしょうか。
リユースは、ビール瓶を洗って再び利用するといったように、すでにある製品をそのまま「再利用」すること。一方、リサイクルは、牛乳パックからトイレットペーパーを作るように、一度資源に戻してから製品を作ることで「再生利用・資源再生」することですよね。
アップサイクルには、その材料を使って高い価値を付けるという特徴があるのです。
では、リメイクとの違いはどうか。
明確な定義はないようですが、言葉に含む意味を捉えるとわかりやすいかもしれません。リメイクには、価値を上げる(アップする)ものと下げる(ダウンする)ものがあると考えられます。
例えば、Tシャツから雑巾を作るというのは、既製品であるTシャツから低価値である雑巾へと生まれ変わっています。もちろんこれ自体は素晴らしいことですが、アップサイクルは、廃棄寸前の木材から机や椅子を作る、古いタイヤからバッグを作るというように、まさに価値をアップさせる考え方が含まれる言葉なのです。
3R(リユース・リデュース・リサイクル)の考え方は、すでに常識になっています。
しかし、私たちはさらにスピードを上げて、持続可能な社会にしていかなればなりません。SDGsといった開発目標がある通り、地球の問題は世界規模で取り組まなければならない問題です。大量生産・大量消費も時代遅れとなり、「すでにあるもの」をどう利用するかが重要です。
同時に、3Rだけではできることにも限界があります。別の視点で言えば、「環境に良い」という理由からのみ、人を動かすことも非常に難しいと言えるでしょう。そして利用する側のモチベーションの源泉を考えた時の鍵は、我慢ではなく「楽しむ」ことです。
このように考えた時に、ゴミと考えられていたものに、命を吹き込み「宝物」へと生まれ変わらせるアップサイクルの取り組みは、非常に意味があり、今の時代に求められているのではないでしょうか。
では、実際にアップサイクル製品はどういったものがあるのでしょうか。参考までに、ここでは具体的な商品をいくつか紹介させていただきます。
株式会社モンドデザインの自社ブランド「SEAL」では、廃タイヤを回収し、タイヤチューブからバッグや靴を作っています。
タイヤチューブから作ることで、耐久性や撥水性にも非常に優れており、永く使用できるという特徴があります。他には、「パラシュートのハンドルから作ったバッグ」といったアップサイクル製品もあり、非常に興味深いですよね。
株式会社モンドデザインでは、「日本にも、環境に優しいデザイン」をコンセプトに、環境や社会に貢献するような製品、そして製品を手にする私たち消費者も満足できるモノ作りを行なっています。
FREITAG(フライターグ)は、1993年にスイスのチューリッヒで創業した老舗のブランド。その特徴的な素材やデザインのバッグや小物は、みなさんも一度お店などで見たことがあるのではないでしょうか?
フライターグには、様々なアップサイクル製品がありますが、その一つに「トラックから作られたバッグ」があります。防水布の役目を持つトラックの「幌(ほろ)」という部分から製品を作ったそうです。
その過程は、次のようになっています。
こうして完成したバッグは、色も形もデザインも機能も、全てがオンリーワンの商品です。
3つ目に紹介するのは、特定非営利活動法人NEWSED PROJECT。NEWSEDは、「NEW+USED」の造語からきています。
非常にワクワクするアップサイクル製品ばかり揃えており、例えば次のようなアイデア商品があります。
こういった商品の特徴は、ただアイデアが面白いと感じるだけでなく、「昔学校で使ってた、懐かしい!」と思わせる「ストーリー」まで製品に乗っていることです。
今回は、この3社のアップサイクル製品を具体例として出しましたが、他にもたくさんの製品があります。ぜひみなさんも、ご自身の目でチェックしてみてください。
最後に、この記事の重要な部分を挙げてみましょう。
今回の記事で、アップサイクルとはそもそもどんな商品なのかイメージできたと思います。
私たちが何気なく行う「購買」は、私たちの「意思表明」とも言えます。街でアップサイクルの製品を見つけたら、ぜひ選択肢の一つとして検討してみましょう。その意思表明が、社会や環境への貢献となるからです。
まずは、街中でアップサイクル製品を見つけてみましょう!
(ライター:サイトウケイ)
(参考)
・一般社団法人日本アップサイクル協会 | アップサイクルとは