コラムサービス内容CO2削減

CO2排出量可視化サービスの価格や内容を比較!「見える化」の目的やメリットも紹介

2023.02.21

”CO2可視化”できるサービスは結局どれがいいのだろうと迷っていませんか?

商品を製造する過程や運搬など、あらゆるところで発生するCO2を集計することで、企業が排出する二酸化炭素の量を把握できるこの便利なシステム。しかし、多くのサービスが展開されているため、それぞれの違いを知りたいというお声も多いようです。

そこで今回は、CO2可視化できるサービスの価格や内容を比較していくと共に、温室効果ガスの排気量を「見える化」する目的やメリットも合わせてご紹介していきます。企業様の現状と今後の排気ガスの削減への目標・対策の設定のお役に立てれば幸いです。

1.CO2可視化の概要とその負担

「CO2可視化」とはCO2の排出量である「カーボンフットプリント(CPF)」を換算して企業や家庭などある1単位の組織で排出されるCO2の排出量を数値化することです。商品・サービスのライフサイクルの過程で排出されたCO2の量を追跡することで、得られたカーボンフットプリント(CO2排出量)の正しい数値を正しく”見える化”することが可能です。

その数値から、各々の企業や自治体、家庭などからどれだけのCO2が発生しているのかを認識できる”CO2可視化”がCO2の削減に有効であるといわれています。

(画像出典元:セールスフォース)

しかし、このCO2可視化には膨大な時間と専門的な知識、繊細な情報収集が必要です。

CO2の排出量の算出などの担当者は、生産部門・調達部門・経理部門・営業部門・開発部門など他部署の担当者とコミュニケーションを取り、さまざまなツールやシステムを駆使しながら正確なデータ管理を行わなければなりません。

さらに、これらをサプライチェーンの関係企業に対しても行うことを考えると、手間と時間が相当かかってしまう負担の大きい業務であることがわかるでしょう。そのような負担を減らすために導入させるのが「CO2可視化サービス」なのです。

2.CO2可視化サービス3社の価格と内容を比較

ある事業活動がどれだけ温室効果ガスの排出や削減に寄与したかを算定・集計する取り組みである「CO2の可視化」ができるSalesforce、アスエネ、カーボンダッシュボードの3社のサービスの比較をしていきます。

A:価格の比較

サービス価格の比較
Salesforce「Net Zero Cloud」 年間576万円(税別)〜
アスエネ「アスゼロ」 年間で数十万〜2,000万円
Earth Company「カーボンダッシュボード」
  • 6ヶ月11,880円〜
  • ※導入・活用のための最低2時間~の研修費が別途必要

B:サービス内容の比較

(1)Salesforceのサービス「Net Zero Cloud(ネットゼロクラウド)」

クラウド型ソフトウェアを提供しているSalesforce(セールスフォース)が2022年3月9日よりサービス開始したのが、二酸化炭素(CO2)の排出削減と管理を行うクラウドサービス「Net Zero Cloud」です。

年3回のバージョンアップデートも行われ、常に改善していく姿勢に好印象を持てるシステムです。

〜ネットゼロクラウドの特徴〜

  • ・アメリカで2019年に導入されたグローバルなシステム
  • ・12カ国の12業種の大企業で使用されている実績のあるサービス
  • ・一部内容を日本向けに編集したクラウド型管理システム

〜このシステムでできること〜

  • ・二酸化炭素など温室効果ガスの排出量を算出(業界標準であるGHGプロトコルへも対応)
  • ・結果をグラフで可視化することが可能
  • ・統合基幹業務システム(ERP)などとの円滑なデータ連携
  • ・CO2を削減していくスコープ1~3への対応
  • ・削減目標に対する進捗管理や将来の温室効果ガス排出量の将来予測
  • ・サプライヤーの排出量を企業のサプライチェーン全体にわたって把握・管理できる
  • ・処理方法や発生量など廃棄物に関するデータを一箇所にまとめてアップロード・管理
  • ・外部への報告

以前はCO2排出量の把握や管理などに時間がかかっていましたが、さらなる効率化を求めクラウド型の管理機能を自社開発。これにより半年程度かかっていた作業が6週間にまで短縮され、工数の77%が削減できるまでのシステムが誕生しました。

導入したある金融会社では、CO2削減に伴う各種計算の98%を自動化。さらに、従業員33万人のコンサルティング会社では出張を削減するなどして、1人当たり年間20%のCO2削減するなど着実な成果を挙げています。

詳細はコチラ → Salesforce | セールスフォース・ジャパン

(2)アスエネが提供するシステム「アスゼロ」

脱炭素の戦略策定から実行までを支援する再エネ調達コンサルティングサービスである”アスエネ”が導入しているのが、AIなどテクノロジーを活用したSaaS Platform型のクラウドサービス「アスゼロ」です。

※SaaS Platform型:クラウドサービス事業者がソフトウェアを稼働し、インターネット経由でユーザーがアクセスすることによって利用できる仕組み。利用契約をすればすぐに使用可能。

2021年8月から始動したこのサービスにより、総括的なコンサル支援を通じて”ワンストップ”で脱炭素経営を推進できます。

また、再エネ調達・電力の深い洞察力とノウハウを活かして、原油・資源高など外部環境変化に応じて、電力小売事業者の複雑な市場連動などの価格・調整費メカニズムの構造の解説・比較・対策の提案が可能となっています。

〜アスエネの特徴〜

  • ・CDP認定の気候変動スコアリングパートナーとしての豊富な実績と経験
  • ・システムは誰でもカンタンにつかえるUI/UXデザイン
  • ・これまで管理してきたさまざまなCO2排出量データを一括で取り込み・管理できる

〜このシステムでできること〜

  • ・国際基準のGHGプロトコルにおけるScope1〜3のCO2排出量を可視化・削減
  • ・目標設定から最適な提案
  • ・請求書などをAI-OCRでスキャン
  • ・ 適切な再エネメニューの小売調達(実質/生再エネ、クレジット提供など)
  • ・オンサイト・オフサイトPPA
  • ・自己託送
  • ・カーボンクレジットの選定
  • ・RE100などのイニチアチブ加盟
  • ・マイルストーンの設定
  • ・CDP、SBT認証、TCFDシナリオ分析、ICPなどのSXコンサルティングが可能
  • ・KPIsのモニタリング手法の確立・運用の支援
  • ・外部環境に応じた交渉支援
  • ・GHGプロトコルに基づいた各種イニシアチブや省エネ法などの報告資料の作成支援

詳細はコチラ → 【公式】アスエネ|脱炭素経営を支援する再エネ調達コンサルティングサービス

(3)Earth Companyの「カーボンダッシュボード」

当サイトを運営するEarth Companyでは”Operation Green”という持続可能な未来に向けた実践型プログラムを、企業や教育機関に提供しています。

  • ・SDGsに取り組みたいがどこから始めたらいいかわからない
  • ・サーキュラーエコノミーやサステナビリティに対する従業員の意識を高めたい
  • ・社会課題への意識が高いZ世代に対する企業ブランドを上げたい

など、実践を通して学ぶプロジェクト型プログラムとして、グループディスカッションを通して「今のままでは環境破壊を助長してしまうことを”認識”し、自分たちにもできる方法を”発見”し、具体的な”行動に繋げる”こと」を目標としています。

そのプログラムの中で、現在その企業がどれだけのCO2を排出しているのか”認識する”ために使用されるシステムが、CO2可視化できる簡易版ソフト「カーボンダッシュボード」です。

せっかく高価なツールを利用しても数値の入力や比較などを行うことは困難で、難易度が高く使いこなせないという声も実は少なくありません。そういった背景からこのシステムは誕生しました。

そのため、「”アクションに繋がりにくい”という問題を解決し、ユーザーが使いやすいものを作りたい」という開発者の想いと意図が感じられるシステムとなっています。

〜カーボンダッシュボードの特徴〜

  • ・詳細な情報を細かく入力する必要がないため比較的どなたでも使用可能
  • ・他のシステムに比べて価格が安いので初めてCO2可視化する企業にも導入しやすい
  • ・イラスト・グラフ化されており高校生にもわかるくらいCO2の可視化が容易

〜このシステムでできること〜

  • ・1ヶ月ごとのデータの数値比較ができる
  • ・電力・ガス・水道などのジャンル別の使用量が一目で分かるので、どこから優先的に改善していくべきかが明確
  • ・問題点に対する対策や行動をピックアップして表示される
  • ・エネルギー・水道・廃棄物によるCO2排出量を環境省の平均値と比較できる
  • ・ツールだけで完結せず担当者が伴走支援しながら問題解決に努めることができる

〈参考〉

3.CO2可視化の目的

定量的または定性的に分かりやすく数値化・提示された数値は環境問題やその取組にシビアに注目する顧客企業・消費者・金融市場・政府などにとって、企業の価値を左右する評価指標となります。

つまり、CO2の可視化には

  • (1)削減対策の推進
    ①温室効果ガス排出量の削減ポイント及び削減ポテンシャルの把握
  •  ( 工場のエネルギー消費量をリアルタイムに計測することで可能となる)
  • ②低炭素行動の促進
  •  (カーボンフットプリントが表示された商品を普及させることで低炭素型の消費行動を促進)
  •  (機器の使用方法の改善等により、低炭素型のライフスタイルを普及)
  • ③削減効果の評価
    (削減行動の結果を見せて意欲を喚起し、削減行動を継続させる)
  • ④2050年のタイムリミットまでの温室効果ガス排出量削減への社会的機運の醸成
    (環境家計簿を普及することで、社会の温室効果ガス排出量削減意識を少しずつ高める)
  • (2)透明性の確保
    ・説明責任への対応(CDPなどの調査への回答により情報を開示
  • ※CDP(カーボンディスクロージャープロジェクト):機関投資家が連携し、企業に対して気候変動への戦略や具体的な温室効果ガスの排出量に関する公表を求めるプロジェクト

という大きく2つの目的が存在していることがわかるでしょう。

CO2は室内のオフィス環境から製品の製造・廃棄まで、多くの場面で発生するガスであるがゆえ、企業内でもその数値を把握・共有することは困難です。

そのため、関係者間で”排出の実態”及び”対策情報”などを把握・共有するためのコミュニケーション手段としても、数値の”可視化”が重要視されているのです。

4.CO2可視化の企業へのメリット

CO2可視化を行うことで企業へ次のようなメリットがあります。

  • ・ライフサイクル全体のCO2排出量を算出し、自社の排出状況を把握することで効果的・具体的な対策がしやすくなる
  • 消費者へのアピールになり業績向上が期待できる
  •  (ステークホルダーに対し、事業での温暖化対策の取り組みを伝えることで企業への信頼感・好感度の向上が期待でき、投資が受けやすくなる
  • カーボンプライシング(排出量に対する税金・排出権取引など)のコストカットにつながる
  • ・他社との競争力を高めることができる(環境問題に取り組まない企業が淘汰されていく可能性大)

このように、長期的なスパンで考えればCO2可視化は企業に大きなメリットをもたらします。

しかし、短期的に考えた際には運用コストに対する費用対策効果の低さが露呈する可能性があります。例えば、CO2排出量削減量の多い商品・サービスによっては価格が上がり、売れ行きが悪くなる場合もあります。さらに、排出量の計算には時間や専門的な知識などを必要とし、もし専門家への依頼すれば当然費用がかかってしまうというデメリットもあります。

ですがこのように、短期的にはデメリットに感じてしまうことも、今後CO2可視化が社会的に一般的になれば、後に始めた企業はCO2削減への対策に遅れを取ってしまいます。

今や環境問題に取り組むことは社会全体の使命となっています。日本だけではなく、世界が求める環境問題への対策を始め、このような取り組みは可能な限り早めに始めていく方が良いでしょう。

〈参考〉・カーボンフットプリントとは|株式会社トランス

5.CO2削減の今後の展望

温室効果ガスにより地球の温度が上昇することで、海の温度上昇による海流の変化、南極や北極圏の氷河が溶けることによる海面上昇、気候メカニズムの変化による暴風雨の激化など地球環境に様々な問題をもたらしています。

地球温暖化に最も影響のある温室効果ガス『二酸化炭素』の増加を食い止めるため、早急に手を打つことが世界で求められています。

まずは排出量を把握しなければ、CO2削減への対策も立てられませんから現状把握はなにより重要です。

さらに、CO2排気量を可視化することで自社製品・サービスの差別化につながり、企業価値を向上させるきっかけとなります。そのため、まだサービスを導入していないという企業様は利用を検討をおすすめします。

(ライター:堀内 香菜)


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