画像:Slow Village HPより引用
2020年月6月25日、未来を創る組織のエコシフトを支援するOperation Green主催のオンライン講座の第6回を行いました!
エコシフトを実践する団体や企業の最前線で事業を推進するトップランナーを講師に迎えて全8回の講座の今回の講師は、洗濯用洗剤「All things in Nature」ディレクター 堀直也氏。
今回は「水質保全」をテーマに、水と洗剤を極力使わない、環境に優しい暮らし方について教えていただきました!
1.日本でも世界でも海や川にはゴミが溢れ、生活排水の洗剤が流れている。サーフィンやキャンプをしていると、海水にシャンプーの臭いがしたり、川の水に洗剤の泡があることも。
2. こうした環境を変えるためには、生活排水を減らすことが大事!食べ終わった食器も「新聞紙ナプキン」や古布等で拭いてから洗うのを習慣にすれば、洗う際の洗剤の量も水の量も激減できる。
3. 洗剤も原液をそのまま使うよりも、ぜひ15~20倍に薄めてみて。原液は粘度も高いので、洗い流す際にたくさんの水が必要になるし、粘度の高い液は排水溝で食べかすや髪の毛と絡んで、悪臭や詰まりの原因にもなってしまう。「新聞紙ナプキン」で汚れを拭いた後なら、薄めた液でも十分落ちる。
当日の講座内容はこちらからご覧いただけます。ぜひどうぞ!
今回、堀さんは通常は参加型のワークショップで行っている洗剤学校をオンラインで実践してくれました。今回の学びの2つのポイントをご紹介します!
堀さんが「ぜひこれからの習慣にしていただきたい!」とおすすめしてくれたのが、「新聞紙ナプキン」。
作り方は、新聞紙を半分に切り、その新聞紙をさらに4等分に切って(つまり、新聞紙を広げたときの8分の1の大きさ)、それを縦長に折って、もう一遍は少しだけずらして折って完成。
これを新聞紙半分の大きさでつくった、ごみ箱にいれて完成です。(新聞紙のごみ箱の折り方は「簡単!ゴミ箱の代わりになる 折り紙の箱の折り方(ブティック社)」をご参照ください)
この新聞紙ナプキンをくしゅくしゅにして広げ、もう一回くらいお団子を丸めるようにくしゅくしゅにすると、紙の繊維が柔らかくなって水分を吸収しやすくなります。その状態で汚れたお皿を拭くときれいになります。
講座では、油分のある口紅をカレーに見立てて実践。このようにべっとり汚れた着いたお皿も…
新聞紙ナプキンで拭くことで…
ほぼきれいになります。
「ここまでなったら、洗剤はほんの少し必要なだけで、あとは水で流すだけできれいになります。食器を食べ終わった後の状態でスポンジに洗剤をつけて、それを排水溝に流してしまう方がほとんどだと思いますが、僕らはそれを絶対におすすめしていなくて、まずは新聞紙でふきとってください」
と堀さん。全部はきれいにならないけれど、新聞紙でできる限りふき取るだけで使う洗剤の量も水の量も劇的に減らせることを実験で教えてくれました。
ちなみに、堀さんのご家庭ではこのように新聞紙ナプキンを常備。
補充は子どもたちの仕事で、「食べたら新聞紙できれいにする」ことを習慣にしているそうです。家族みんなで取り組めて、お母さんの洗い物の負担が減るのは素晴らしい取り組みだと思いました。
2つめの学びのポイントは、洗剤は原液のままではなく、薄めて使おう!ということ。
堀さんは白いプレートに油性マジックで黒い円を描き、それに4つの洗剤をかけて汚れの落ち具合をみせてくれました。
・A:市販品①
・B:市販品②
・E:All things in Natureの原液
・スプレー:All things in Natureの原液を15倍の水で薄めたもの
すると、ご覧のように、水で15倍に薄めたものが一番よく落ちたという結果に!
「洗剤はそれぞれ洗浄力が全然違います。どんな汚れにも原液がいいわけではありません。たとえば食器の油は、新聞紙ナプキンを使ったら水で薄めたもので十分です。市販の洗剤でも、15倍から20倍に薄めたものを使ってみてください」
と堀さん。
よくコマーシャルでは、スポンジにたくさん原液をつけて使うようなシーンが流れていますが、実は水で15倍から20倍に薄めたもので十分、というのはちょっと驚きでした。
堀さんは、この「新聞紙ナプキン」を全国の保育園や幼稚園、小学校、中学校、高校、大学の学食へ広めていきたいと語ります。
「お昼をたべたあとに、子どもたちがみんなで新聞紙でくしゅくしゅして、きれいにしてから給食や学食のおばちゃんのところにもっていく。新聞紙も再利用できるし、地域の新聞屋さんとコラボしても良いと思う。食器を洗うための水も少なくて済むし、洗剤も少なくて済む。悪いことなんて一つもなく、みんながハッピーになれます。
日本のどこの学校でも食事の後にこの『新聞紙ナプキン』で拭いていたら、それは世界に誇れる取り組みです。
元々日本人はきれい好き。だから、もう少しシンプルに、『俺たちきれい好きだからやろうよ』で広めて行けたらと思っています」
そして、参加者に向けて、「これを聞いている人の中に、もしそういった教育機関へのネットワーク、つながりがある人がいたら、ぜひ取り組んでください」と呼びかけていました。
質問タイムでは、堀さんの提唱する「水と洗剤に極力頼らない暮らし」の実践に向けて、
「新聞紙でふき取った後に、菌も取れますか?」
「プラスチック容器は油がなかなか落ちないけれど、コツはありますか?」
「石鹸は100%生分解するというが、1日で94%・1週間で100%のAll things in Natureのほうがおすすめなのはなぜでしょうか?」
「洗濯の洗剤を少なくするコツはありますか」
などなど、具体的な質問をたくさんいただきました。その1つ1つに対し、堀さんは
「殺菌については、洗剤も殺菌を目的に考えられているわけではないので、菌を殺したかったら熱湯消毒などがおすすめです。
プラスチック容器は『使わない』という選択肢もあるのではないかと。
石鹸とAll things in Natureの生分解については、生分解の速度が全く違うということ。要は、洗濯時の一回の使用量が10倍くらい違うことによります。洗濯洗剤の使用量を少なくするには、重曹やクエン酸など自然由来のものを一緒にいれると洗剤は2/3程度でOKですよ。ただし、それはAll things in Natureの液性が”中性”だからできる技なんですけどね」
と、丁寧に答えてくださいました。そして最後に
「それでも合成洗剤を使う人がいなくならないのは、どうしてだと思いますか?」
という問いかけに対しては、
「うちの洗剤も合成洗剤ですが、要はその成分が植物由来か、石油由来かということですよね。石油由来の合成洗剤がなくならないのは、テレビの影響が大きいのだと思います。人はテレビのCMで流れていると、それがいいものだと思ってしまいます。みんながアンテナの立て方を変えて、テレビの情報を鵜呑みにするのではなく、一度自分で『本当にそうなのか?』と考えて、納得して行動することが大事だと思います」
と自分で考えることの大切さを訴えました。
「テレビの情報を鵜呑みにするのではなく、一度自分で考えて行動する」その一言は、今回6回続けて行ってきたこのオンライン講座で学んできたこと全てに共通します。
「今まではこうだったから」と何となく習慣を続けるのではなく、「本当にこれでいいのか?」と考えて、今までの習慣を見つめ直すことを大切にしたいと思った講座でした。
余談ですが、講座終了後、新聞紙ナプキンをお昼のカレーを食べた後に実践してみたら、本当に水だけできれいになり、かつすすぎの水も少なくきれいになってびっくり!!新聞をとっていない場合には、古布や週刊誌、雑誌などでもいいそうなので、これはとってもおすすめのアクションです!
今までの習慣を考え直し、そして新しい習慣を素直に試してみることで、今までよりももっといい習慣がうまれそうな予感がしました。
(レポート:Earth Company 小松紀子)
講師プロフィール
洗濯用洗剤「All things in Nature」ディレクター 堀直也
東海大学海洋学部在学中にサーフィンに夢中になり、ビーチに漂着するゴミを見て立ち上がる。1年間のアメリカ放浪の旅を経て、ゴミ問題を解決するには“幼少の頃から自然の中で遊ぶ体験がとても大切”という結論に至る。“家の排水口は小さな海”をテーマに1日で94%生分解する洗濯用洗剤「All things in Nature」のディレクターを務める。エコサーファー代表、ビーチマネー事務局長、おそうじ学校認定講師。