カーボン・オフセット
1. カーボンオフセットとは
カーボン・オフセットは、事業活動などにより排出される温室効果ガスの排出を、できるだけ減らすように努力をした上で、排出権(クレジット)の購入や、排出削減する活動を別の機会に行うことなどで、排出量の埋め合わせ(オフセット)をすること。他の場所での活動により削減・吸収された温室効果ガスは、一定のルールに基づき定量化し『クレジット*1』とに変えることで、市場で取引が可能となる。カーボン・オフセットをする際にはこのクレジットを購入し、無効化することで埋め合わせができる。
*1 クレジット制度
クレジットとは、再生可能エネルギーの導入やエネルギー効率の良い機器の導入、植林や間伐等の森林管理により実現できた温室効果ガス削減・吸収量を、決められた方法に従って数値化し、取引可能な形態にしたもの。カーボン・オフセットはクレジットを購入することで可能となる。
2. カーボン・オフセットの効果
- ・ クレジット購入を通じて、森づくりや再エネの利活用・高効率省エネ機器の導入といった活動に多くの資金が使われることになり、温暖化対策が実現できるようになる。
- ・ 自社の削減努力に加えて、更なる温室効果ガスの削減を進めることができる。
- ・ カーボン・オフセットされた商品は環境貢献型商品とも呼ばれ、消費者としてその商品を購入することが温室効果ガスの削減につながる。そうした商品を通じて、自社に限らずより多くの人々、消費者と一緒になった温暖化対策を進めることができる。
カーボン・オフセットを利用することで、企業経営にも様々なメリットが得られるため、最近注目を集めている。
- ・ 環境経営企業としてのPR効果
環境に配慮する企業を評価する消費者や投資家が増えている中、カーボンオフセットは、消費者・取引先・株主等のステークホルダーへのアピールになる。
- ・ 他社との差別化
環境配慮型商品の展開により他社との差別化を図り、新たな商品戦略やブランディングを築くことができる。
- ・ 地球のために
カーボンオフセットイベントの開催や、商品やサービスを通じた消費者の日常生活のCO2排出のオフセット等を行うことで消費者が気軽に参加できる地球温暖化対策の場を提供できる。
3. 施策と導入事例
(1) 事業活動でのオフセット
- ・ 東急建設:2010年10月に行われた渋谷新文化街区PJでは、竣工までに現場事務所で発生するCO2排出量を実質ゼロにするように試みを行った。結果、69トンのカーボンオフセットを実施。
- ・ 芙蓉総合リース:本社ビルの電気使用量に相当するCO2排出量をオフセット
(2) イベント開催でのオフセット
- ・ 横浜市:横浜市では、地域自治体が開催した約700人が参加したそうめん流しイベントで発生した19.71kgの二酸化炭素に対し、カーボンオフセットを実施。
(3) 商品・サービスを介したオフセット
- ・ ファミリーマート:環境配慮型プライベートブランド「We Love Green」商品の原料から製造、廃棄までのCO2排出量239tCO2をオフセット
- ・ ローソン、コカ・コーラシステム、サントリー酒類:排出権付き飲料を販売し、商品購入者の生活から排出されるCO2量の一部(1本につき1kg-CO2又は 500g-CO2)のカーボン・オフセット(累計参加者1,350万人で12,359トン)
(4) クレジットを使用しないオフセット
- ・ 住友林業:戸建住宅建築に伴うCO2排出量をインドネシアで植林することによりオフセット
4. 導入のためのアクション
- ● オフセットプロバイダーに相談する
オフセットプロバイダーとは、クレジットの選び方や調達・手配に関する相談など、カーボン・オフセットの取り組みを支援している事業者のこと。プロバイダーを活用することでカーボン・オフセットの取り組みを進めやすくなる。
・ オフセットプロバイダー一覧
参考
カーボンオフセットについての詳細はカーボンオフセット協会のホームページをご参照ください。