エコ施策
地球環境への負荷の要因は様々であるが、最も問題視されているものは、CO2をはじめとする温室効果ガスの排出による地球温暖化である。今の人類の生活を維持してしまった場合、2100年には地球の平均気温は4℃上昇し、気候変動によって生活が脅かされる「気候変動難民」が20億人発生すると言われている。
これをうけて、2015年にフランスのパリで締結された「パリ協定」では、世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をするという国家間の共通の長期目標が締結された。
ここではそんなCO2削減に繋がる6つの施策について、ご紹介する。
ローカルプロダクトの購入とは、地域で生産されたものを地域で消費することであり、日本では地産地消という言葉でよく知られている。近年、消費者の製品に対する安全・安心志向の高まりや生産者の販売の多様化が進む中で、消費者と生産者を結び付ける地産地消への期待が高まってきている。
ただし一般的に地産地消というと農産物と捉えられやすいが、ここでは日本や地元地域で作られたものを使う、広義の地産地消を指している。
例えば、製品の原材料の仕入れを海外から国内に変えることや、オフィス家具や文房具を周辺地域で調達するという試みも該当する。
メリットとしては、
1. 品物の輸送に係る距離が短縮され、輸送に伴って発生するCO2の削減に繋がる
2. 輸送時間が短いため食材等の鮮度が保たれる
3. 地元企業や農家の支援に繋がるため、地元経済の活性化に貢献することができる
実践企業としても、地域との交流が生まれたり、取り組みを発信することによって企業価値が向上するなどCSR活動としても非常に有効な取り組みである。
ダイベストメント(Divestment)とは、投資(Investment)の対義語で、すでに投資している金融資産を引き揚げることを指す。
近年、ダイベストメントは気候変動問題との関連で注目されており、化石燃料産業や石炭産業から金融資産を引き揚げることによって、投資の脱炭素化を図ることを目的としている。
現在は世界で約1,200の企業や団体がダイベストメント宣言している。この中にはハーバード大学のような大学のファンドや地方公共団体、宗教団体などが含まれるほか、ゴールドマンサックスやブラックロックといった大手投資機関もダイベストメントを宣言し、その総運用資産額は14.4兆ドル(約1,555兆円)にも上っている。
<参考>
Operation Greenが過去に開催した350.orgのダイベストメントウェビナーの開催レポートはこちら。
Web会議の導入により、日本・世界のどこにいても、ITテクノロジーを利用してオンラインでミーティングを行うことが可能になる。
移動に時間を取られることがなくなり、移動に伴うCO2の発生も削減できる。また、Web会議では参加者は会議資料をオンラインで共有できるため、資料の印刷・配布などの業務が削減でき、ペーパーレスにより環境負荷も軽減できる。
2017年には、社員1,000人以上の会社の導入率は72.9%、300人以上の会社では50.6%と約半分の会社が既に導入している。
カーボン・オフセットは、事業活動などにより排出される温室効果ガスの排出を、できるだけ減らすように努力をした上で、排出権(クレジット)の購入や、排出削減する活動を別の機会に行うことなどで、排出量の埋め合わせ(オフセット)をすること。
他の場所での活動により削減・吸収された温室効果ガスは、一定のルールに基づき定量化し『クレジット*1』とに変えることで、市場で取引が可能となる。カーボン・オフセットをする際にはこのクレジットを購入し、無効化することで埋め合わせができる。
*1 クレジット制度
クレジットとは、再生可能エネルギーの導入やエネルギー効率の良い機器の導入、植林や間伐等の森林管理により実現できた温室効果ガス削減・吸収量を、決められた方法に従って数値化し、取引可能な形態にしたもの。カーボン・オフセットはクレジットを購入することで可能となる。
地球温暖化問題への関心の高まりと共に、企業でもCO2排出量削減の取り組みが行われてきているが、近年では物流にともなうCO2の排出についても関心が払われるようになってきた。
2016年度における日本のCO2排出量(12億600万トン)のうち、運輸部門からの排出量は17.9%(2億1,500万トン)を占めた。運輸部門のうち自動車からの排出量は86.2%、このうち、旅客自動車が49.8%、貨物自動車が36.4%を排出している。*1
物流は産業活動を支える上で不可欠なものだが、環境面では自動車から排出されるCO2の削減が課題となっていることが分かる。
特に都市内の物流では、輸送手段のほとんどをトラックに依存しているため、輸配送の無駄な走行や、CO2の排出を削減することで環境への負荷が減る。製造業や卸売業など荷主サイドでも、大手の事業者などにより環境対策が行われてきているが、物流に関わる事業者のほとんどは中小企業であることから、事業者すべての取り組みが、持続可能な物流を実現するカギとなっている。
*1 国土交通省ホームページより
旅行や出張などは、生活の質を高めたり、地域経済の柱に繋がる貴重な活動である一方、来訪先となる地域に一定の負荷をかける可能性のある活動でもある。
レスポンシブルトラベルとは、観光に携わるすべての人が、環境、社会、文化、経済への影響に責任を持つべきであるという考えで、観光事業者だけでなく旅行者にも持続可能性を意識して運営されるツアーやホテルの選択を促すものである。
国連世界観光機関(UNWTO)はそのような持続可能な観光を以下のように定義してる。
「訪問客、産業、環境、受け入れ地域の需要に適合しつつ、現在と未来の経済、社会、環境への影響に十分配慮した観光」
企業活動においても、社員の出張や社員旅行の際に、このレスポンシブルトラベルの概念を取り入れて計画することで、CO2削減に貢献できる。