今、地球が気候変動による危機的状況に直面していると世界中の科学者が警告しています。
地球上の平均気温が産業革命前と比べて2.5℃上昇した場合、赤道付近の気温上昇は0.6℃ほどです。ですが、赤道の熱は北極・南極地方に運ばれるので、北極・南極での気温上昇は6.5℃以上になるといいます。
北極や南極の氷が溶けだした場合、水位が上昇し地球に甚大な被害をもたらすといわれています。CO2削減はもはや「やったほうがいいこと」ではなく「やらなくてはいけないこと」であることは間違いありません。
この記事ではCO2削減の現状と取組みについて紹介していきます。
日本の人口は世界の2%と多くはないですが、 世界で5番目にCO2を排出しています。ですから、このCO2の問題に関しての日本の責任は重いといえるでしょう。
世界規模でCO2削減の問題をみると、2013年から2016年にかけて、世界のCO2排出量の増加率は落ち着いていて、ほぼ増減はありませんでした。
ですが、その要因は中国が供給過多により製品の生産をストップしたのと、アメリカがシェールガス革命を起こしたからです。
経済成長が著しい国でCO2の排出量が多くなる傾向があります。先進国の中には、イギリスやスウェーデンなど一見CO2の削減に成功しているように見える国もありますが、これは、国内の製造業の拠点が人件費の安い途上国などの海外に移っているからという理由もあります。
ですので、世界全体でCO2削減に向けて活動していく必要があるといえるでしょう。
とはいえ、問題解決には小さいことの積み重ねが重要です。そこで、次にCO2の取り組みを行っている企業や組織について紹介します。
ヤマハ発動機グループでは、企業活動に伴って工場で使用する燃料の燃焼等からの温室効果ガスの直接的な排出の削減を行っています。その他にも、工場・オフィスでの電力使用等による間接的な排出をエリア別に把握し、その削減にも努めています。
ヤマハ発動機の全社製造枠での2018年度目標は、2009年度比原単位9%削減に対し原単位36%減というかたちで目標を達成しています。
ヤマハ発動機のCO2削減の具体的な活動のひとつが、再生可能エネルギーの導入です。
2004年に本社工場に太陽光発電を設置して以来、国内で再生可能エネルギーの拡大をしていき、2018年にはアメリカやタイ、台湾などの諸外国へも太陽光発電を導入しました。
ヤマハ発動機では2013年よりグローバルユーティリティコスト削減活動というプロジェクトを行っており、このプロジェクトは売上を上げただけでなく、CO2排出量も削減(2012年比:15%減)しました。
CO2削減の活動の一環として、水の浄化システムの開発も行っています。気候変動は水への影響を及ぼすので、ヤマハではヤマハクリーンウォーターサプライシステムというろ過システムを開発しました。
CO2削減の活動とともに、地球温暖化による影響の対策まで行っていることがわかります。
日本マクドナルドは、世界全体で2030年までに店舗及びオフィスからの二酸化炭素排出量を2015年比で36%削減するとしています。
日本マクドナルドではCO2削減のために、モーダルシフト、つまり輸送の効率化を行っています。輸送の際に同業他社などと協力して輸送の回数を減らし、CO2を削減するということです。
輸送の効率化の他にも、店舗でもLED照明の導入など電力削減によるCO2削減も行っています。電力削減に役立っているのはLED照明の導入だけではありません。
日本マクドナルドの店舗では、リアルタイムで使用電力を測定し一定量を超えると警報を発するデマンド監視装置によって、無駄な電力使用を抑制しています。
これらの活動により、日本マクドナルドではすでに、年間約1トン以上のCO2削減の見込みがたっています。
CO2削減に積極的な企業は、消費者や投資家からの印象を良くなり、ブランディングの面でもメリットがあります。
しかしCO2排出を削減し、「気温が上昇する」「強い雨が多くなる」「大型台風の上陸も増える」といった気候変動によるリスクを軽減し、甚大な経済的なダメージも避けることができるならば、それはブランディングよりも大きなメリットといえるのではないでしょうか。
経済活動を将来にわたって持続的に行っていくためにも、自社でできるCO2削減について改めて検討してみてはいかがでしょうか。
(ライター:山田浩平)
<参考資料・記事>
・「気候変動の危機的状況は「明らか」、最新報告書、科学者1.1万人が支持表明」(BBC)
・「CO2排出量の削減」(ヤマハ発動機グループ)
・「日本の気候変動とその影響 2012 年度版」(環境省)
・「私たちの責任 Our Planet」(日本マクドナルドホールディングス)
・「日本マクドナルド、米国コミットメントをもとに温室効果ガス排出削減の活動強化」(エコナビ 一般財団法人環境イノベーション情報機構)