人間活動によって増加した主な温室効果ガスには、CO2、メタン、一酸化二窒素、フロンガスがありますが、日本の温室効果ガスの約9割がCO2 であり、これは日常生活や経済活動と密接不可分のエネルギー消費に伴い、発生してしまいます。
そのCO2を排出する大きな原因の一つが自動車ですが、今はCO2排出規制の動きもあり、地球環境に配慮したエコカーの開発も目覚ましいものがあります。今回は、そのエコカーと、Operation Green的なエコカーへの取り組みをご紹介します。
エコカーとは、有害ガスの排出が少ないまたは無い環境に優しい自動車で、かつ、燃費がいい自動車のことです。国土交通省が定める排出ガスと燃費の基準値をクリアしたものがエコカーと呼ばれます。エコカーには第1から第3まであり、
・第1:電気自動車
・第2:ハイブリッド車
・第3:低燃費のガソリン車
のことを指します。
第1の電気自動車は名前の通り電気をエネルギーとして走ります。
第2のハイブリッド車とは、ガソリンと電気のどちらも燃料にして走る自動車のことです。
第3の低燃費のガソリン車は、燃費を良くしたガソリン自動車です。
今まで市販車用エンジンの熱効率は、最も熱効率がよいものでも約40%で、60%ものエネルギーが活用できずに失われていました。この第3のエコカーはエネルギー効率を見直し、低燃費で走れる自動車として開発されました。このように月日を重ねるごとに、地球環境に優しく、かつ、ユーザーに使いやすいように改良され続けています。
エコカーの世代の他に、エコカーには以下の種類があります。
・ハイブリッド車(HV)
・プラグインハイブリッド車(PHV)
・電気自動車(EV)
・燃料電池車(FCV)
・クリーンディーゼル車(CDV)
・水素自動車
種類は多くありますが、いずれも環境に優しいつくりとなっています。
プラグインハイブリッド車は、ハイブリッド車の進化系で、家庭用コンセントなどの外部電力で充電することができる自動車です。今までの電気自動車の普及の大きな課題となっていた「充電できる場所が限られている」という大きな問題を改善したと言えるでしょう。
燃料電池車は、水素と酸素がエネルギーのもとになり走行する自動車です。水素と酸素を燃料にしているため、排出されるのが水だけなので、非常に環境に優しい自動車です。
水素自動車は、水素を燃料とし、水素を燃焼させることによって生じるエネルギーを原動力として走行します。エコカーといっても種類がこれだけあるため、ユーザーの使う目的や意図によって種類を選ぶことができると言っていいでしょう。
エコカーは地球に優しい自動車です。従来のガソリンで走る普通車と比べると、天然ガスで走るエコカーは、二酸化炭素の排出量が約30%も少なく、二酸化炭素以外の有害物質の排出量もかなり少ないです。電気自動車や、燃料電池車に関しては、ガスの排出が全くありません。
このような環境的メリットの他にも、経済的メリットもあります。導入の初期投資はかかりますが、エコカーは燃費がいいため燃料費が安く収まります。
ただ、普通車に比べて自動車自体の価格が高く設定されているため、価格差の元を取るのには年月が必要です。
さらに燃料代が安く収まるだけでなく、現在はエコカー減税制度があり、税金の面に関してもエコカーは普通車に比べてメリットがあるよう設定されています。
営業に車移動が必要な企業では、社用車を保有していますが、この社用車をエコカーにする取り組みも始まっています。
花王株式会社は、営業で使う社用車をエコカーにする取り組みを行っています。そして販売活動において、安全で環境負荷の少ないエコドライブの推進もしています。花王は2008年に営業車にハイブリッド車をテスト導入しました。そして2012年度から本格的に採用に踏み切り、2019年3月末時点で、花王グループ全体の営業車の約5割がハイブリッド車への切り替えに成功しています。
また、エコタイヤも2012年から導入をスタートしました。これらの取り組みにより、CO2排出量は、2016年比で約2割削減しています。このように、環境保護活動の一環として花王はエコカーを社用車として導入し、排出ガスの減少及び環境改善に成功したのです。
エコカーの開発が進んでいる背景は、もちろん温室効果ガス規制への配慮、技術の発展ありますが、最大の理由は石油の枯渇にあると言われています。たとえば、トヨタ自動車株式会社は、前々から2040年頃には石油がなくなることを公の場で話しています。温室効果ガスだけでなく、石油枯渇への備えとしてもエコカーの普及は非常に重要な課題となっているのです。
環境保護はもちろん、次世代のエネルギーへの乗り換えとしてエコカーの導入を検討してみてはいかがでしょうか?
(ライター:山田浩平)
<参考記事>
・「日本の二酸化炭素排出量について知りたい」(全国地球温暖化防止活動推進センター)
・「ガソリンで51.5%、ディーゼルで50.1%!! オールジャパン体制のSIP「革新的燃焼技術」が驚異のエンジン熱効率を達成!」(Park blog 株式会社JAFメディアワークス)
・「IT活用やエコカーなどの導入で、CO2削減をめざす」(花王株式会社)