私達にとって1番身近なエコ活動は、電力の削減ではないでしょうか?今回フォーカスするのは、電力消費のなかでもその割合が多い「照明」についてです。
家庭で消費される電力のうち、「照明器具」の割合は13.4%と電気冷蔵庫について2位(経済産業省 自然エネルギー庁)。一般的なオフィスのエネルギー消費量のうち、照明器具で消費される電力の割合は夏季では24%、冬季では33%となっています(一般財団法人日本照明工業会)。
かつてほとんどの家庭や企業で白熱灯が使われていましたが、今ではLEDへの入れ替えも増加し、日本照明工業会では2020年に50%に達すると見ているほど。特に公共施設の電球はほぼ100%LEDの電球といわれており、私達の生活にかかせない照明をより効率的に使うために様々な取り組みが行われています。
そこでここでは、エコな照明器具のLEDの普及による電力削減と、「スーパーしまむら」の照明調節と経営戦略について紹介します!
LEDは電力交換効率が非常によく、従来の電気照明とは消費電力が大きく異なります。LED照明器具への買い替えは初期投資のコストは発生しますが、オフィスの照明を一般的な蛍光灯から最新のLED照明器具にリニューアルした場合、消費電力は最大で約68%削減でき、標準的なオフィス(150坪)で年間34万5000円節約できるという試算もあります。。
そのため、オフィスや公共施設など大勢の人が集まるような場所から普及が始まりました。2010年に商業施設を中心にLED照明が普及し始め、オフィスや住宅には2015年ごろから普及しています。
普及当初は初期費用が高いなどの課題がありましたが、現在では値段も落ち着いてきて比較的安価で入手することが可能です。LEDは長持ちするので、一度買ってしまえば買い替えの費用や手間はかからなくなります。また、消費電力を抑えることもできるので、同時に環境にも優しい活動になります。
それもあり、一般財団法人日本照明工業会では、2020年にはLEDランプによるLED照明器具化とLED照明器具を合わせて、国内照明器具ストック市場においてその割合を50%とすることを目指しています。
神奈川県平塚市を中心に、食品スーパー11店舗を展開する「スーパーしまむら」の多くの店では、店全体を照らす蛍光灯の他に、食品をスポットライトで照らしていました。その分消費電力は多く、ハロゲンランプという白熱灯の一種でエネルギー変換効率が良くない電球を使用していたこともあり日々の電気代に悩まされていました。
また、ハロゲンランプは電球自体の寿命も短く買い替えが多く必要で、さらには電球を替えるのに手間がかかりました。手間がかかる上に、電気代も高く、取替えに時間もお金もかかり、しまむらの経営にとって大きな負担となっていました。
そのような事態の中、2009年12月にしまむらはLED電球の導入をしました。これで照明の問題と負担は軽くなるだろうと思われましたが、普及当初のLEDはまだ不具合が多く、明るさが落ちたり、取替えが何回も必要でした。
スーパーにおいて品物を照らす照明はかなり重要な役割を果たすので、LEDが上手く機能しない問題はしまむらにとって深刻なものとなりました。2010年6月、LEDのレンタル導入という存在があることを知り、しまむらはLEDを試験的に改めて導入しました。
試験導入から2ヶ月後の2010年8月にLED照明を本格導入しました。この本格導入は結果として成功に繋がります。商品の傷みを20~30%も軽減できるようになりました。白熱灯の場合、朝から照明を稼働したら昼には照明の熱で商品がダメになっていました。ですがその重要な問題を、LEDの効果によって解決したのです。
2012年には蛍光灯から、LED照明置き換えも開始しました。LED照明置き換えにより、電気代を約70%削減することに成功し、さらには46%もの電気量削減に成功しました。
LEDは寿命が長いので、一度成功させてしまえば意識せずに省エネ活動を続けることができるのでかなり便利です。しまむらはLED導入により、店内を明るくし、LEDで商品を照らすことで商品の見栄えまで変えてしまいました。
今までよりも商品の見栄えは良くなり、売上にもつながりました。LEDで照明を調節することで、電力消費を抑えるだけでなく、まわりまわって店の利益にまでつながりました。しまむらのLED導入は成功したといえるでしょう!
照明器具を見直すだけで多くの電力を削減することができます。
今回は「スーパーしまむら」の例を紹介しましたが、ちなみに「ファッションセンターしまむら」も全店の照明を2018年までに発光ダイオード(LED)に切り替えるために、40億円程度を投じ、その結果、1店舗当たりの電力使用量を25%程度減らし、店舗の運営コストを引き下げることを目指しています。
電力の削減はそのまま電気代の削減につながるので、個人単位でも家庭単位でも、さらには企業単位でも照明を調節するメリットはおおいにあるといえるでしょう。
ひとりひとりが意識するだけで、今より少し地球の環境が良くなります。照明の見直しについて、ぜひ前向きに検討してみませんか。
(ライター:山田浩平)
<参考記事>
・「家庭における消費電力量のウエイト比較」(経済産業省資源エネルギー庁)
・「省エネ性をカエル」(一般財団法人日本照明工業会)
・「照明成長戦略 Lighting Vision 2030 ~あかり文化の向上と地球環境への貢献~」(一般財団法人日本照明工業会)
・「オフィスの照明をLED照明にリニューアルしませんか?」(アイリスオーヤマ株式会社)
・「照明の活用ヒント集 Vol.6 スーパーしまむら」(経済産業省資源エネルギー庁)