コラムCO2削減廃棄物

身近なお店でも!環境に配慮し包装を削減した企業の取組事例

2023.03.01

使い捨てプラスチック削減の動きが浸透しつつありますが、まだまだ過剰包装の商品を見る機会は多いのではないでしょうか。2021年度、日本の廃プラスチックの総排出量は824万トンに及び、その48.7%が包装・容器などのコンテナ類でした。

包装のごみが全体の半分ほどを占めることに驚く方も多いと思いますが、包装ごみを減らせば廃プラスチックの量を大きく削減できる可能性があるともいえます。

そこで今回は、包装資源を削減した企業の事例を4つご紹介します。すでにさまざまな企業が包装における使い捨てプラスチック削減に取り組んでいますので、極力新しい取り組みをご紹介し、今後の課題もお伝えします。

使い捨てプラスチックが環境に及ぼす影響

使い捨てプラスチックが地球環境に及ぼす影響は、大きく分けて下記の3点です。

・温室効果ガスの排出
・埋立地の切迫
・資源の枯渇

それぞれ詳しくご説明します。

温室効果ガスの排出

石油を原料として作られるプラスチックは、生産・廃棄どちらの過程でもCO2を排出します。「リサイクルすればCO2排出量を減らせるのでは?」と思われる方もいるでしょう。ですが、残念ながらリサイクルは解決法とはいえません

2019年、日本では約850万トンのプラスチックごみが発生し、その約8割を有効利用したと発表されました。ですが、有効活用したとされるごみの半分以上は、プラスチックごみを燃やした際のエネルギーを回収して利用するサーマルリサイクルにあたります。

サーマルリサイクルではプラスチックごみを燃やす際にCO2が排出され、単純焼却とあわせて年間約1600万トンのCO2が排出されています。

プラスチックごみを溶かしたものから新しい製品を作るマテリアルリサイクルや、プラスチックごみに化学的な処理をしてプラスチックの原料に戻すケミカルリサイクルも、その過程でCO2が排出されます。

リサイクルは解決法とはならないため、プラスチックの使用量を減らす必要があるのです。

埋立地の切迫

2020年度末時点で、一般廃棄物の最終処分場(埋立地)の残余年数は全国平均で22.4年となっています。残余年数は変動する可能性があるものの、今のペースでごみが出続ければあと20年程度でごみを埋める場所が無くなってしまいます

プラスチックごみは、2021年に全体の約5%である45万トンが埋め立て処理されていますので、プラスチックごみも早急に減らすことが必要です。

石油資源の枯渇

2017年、国内で生産されたプラスチックの原料である樹脂のうち、約92%は石油から作られました。廃プラスチックをリサイクルしてできたものは約8%、植物由来のものはなんと1%にも達していません。

大量のプラスチックを生産しつづければ石油資源の枯渇につながりますので、すぐにでもプラスチックの生産量を削減する必要があります。

包装を削減した4つの企業

ここまでみてきたとおり、プラスチックは地球環境に大きな影響を及ぼしています。プラスチックごみのリサイクルによってCO2排出量の削減は可能ですが、リサイクルの過程でもCO2は排出されるため解決策にはなりません。

もちろんプラスチックがどうしても必要な場面もありますので、今回は比較的削減しやすい包装に焦点を当て、事例をご紹介します。

再利用可能な容器で購入できるLOOP

LOOP」は小売店やメーカーと提携し、再利用可能な容器で商品を販売している循環型プラットフォームです。日本・アメリカ・イギリス・フランス・カナダでサービスを展開しています。

日本ではイオンと提携し、首都圏・近畿圏・広島を中心とした約100店舗でLOOP対象商品が購入できます。取り扱い店舗は随時追加されていますので、今後さらに幅広い地域に広がるでしょう。

LOOPの容器はどのように再利用される?

LOOPの容器循環の流れをみていきましょう。

①ユーザーはLOOP対象商品を本体代と容器代を支払って購入

瓶に入ったポカリスエットや、ステンレス容器に入ったキシリトールガム・シャンプーなどが販売されています。

②中身を使い切ったら販売店に容器を持参

容器を返却後、約3週間で専用アプリに容器代が返金されます。

③使用済みの容器をLOOP提携工場にて検品・仕分け・洗浄

工場でしっかり洗浄されるので、ユーザーが洗う必要はありません。

④メーカーの工場で商品の中身を充填

洗浄された容器に中身を充填します。

⑤店頭に商品が並ぶ

LOOPの容器はいずれも10回以上使用されるため環境負荷が低減できます。容器としての寿命を迎えたあとはリサイクルされます。廃棄のことまで考えられた素晴らしい取り組みですね。

ローソンは食品・日用品の量り売りを導入

コンビニエンスストア「ローソン」・「ナチュラルローソン」は、東京・神奈川の一部店舗にてナッツなどの食品や、洗剤などの日用品を量り売りで販売しています。持ち帰り用の容器は店舗にも用意されていますが、持参した容器に詰めることも可能です。

使い捨て容器の利用を削減できるのはもちろん、必要な分だけ購入できるため食べきれず廃棄することも少なくなるでしょう。

取り扱い商品の中には環境や社会に配慮した企業に与えられるB Corp認証を取得した「エコストア」の洗剤などがあります。容器だけでなく中身も環境に配慮されたものを選びたい方のニーズを満たしています。

日本ハムはパッケージを変更し28%のプラスチックを削減

食品メーカーの「日本ハム」は、プラスチック削減のために従来の巾着型包装を廃止しました。これによって、包装に使うプラスチックの重量を約28%削減できました。包装を小さくすることで輸送効率も上がり、年間約4千トンのCO2排出削減にもつながるといいます。

この動きは業界全体で見られ、伊藤ハム・プリマハムなど他メーカーも同様にパッケージを変更しています。

スターバックスは店内用グラスを1500店舗で導入

「スターバックスコーヒー」は、2023年3月より約1500店舗での店内利用時のコールドドリンクの提供を、繰り返し使えるグラスで行うと発表しました。2022年12月末時点で国内のスターバックスの店舗は1792店舗ですので、約83%の店舗で店内用グラスが導入されます。

スターバックスではこれまで下記のような施策を行ってきましたが、ついに使い捨ての大幅な削減を期待できる改革を行いました。

・2020年1月:紙ストローの段階的な導入
2021年2月:一部のコールドドリンクをプラスチックではなく紙カップで提供
・2022年6月:店内利用の場合コールドドリンクをフタなしで提供

新しく導入される店内用グラスは、薄く目を引くデザインで、持ちやすさ・飲みやすさにもこだわっています。試験導入で利用したユーザーからは「美味しそうに見える」などポジティブな意見がありました。環境負荷の低減・企業イメージの向上・顧客満足度の向上など、さまざまな面でメリットがある改革といえるでしょう。

包装削減対策の今後の課題は?

ご紹介してきたようにさまざまな企業が包装資源の削減に取り組んでおり、サステナブルな包装が増えました。ですが、よりプラスチックを削減するためには、まだまだ取り組むべきことがあります。

容器再利用・量り売りに対応した商品を増やす

容器の再利用や量り売りのサービスをご紹介しましたが、これらを利用して買える商品は非常に限られています。使いたい商品がなければ環境意識が高い人以外は利用しない可能性が高いため、対応商品を増やす必要があります。

サステナブルな素材への置き換えにも取り組む

プラスチック包装でなくても問題なければ、サステナブルな素材に置き換えましょう。ただし、他の素材への置き換えが持続可能とは言い切れません。紙コップを例にすると、紙コップ1個につき0.11キロのCO2を排出することが明らかになっています。森林資源を使って、さらにCO2を排出することは持続可能とは言えません。

紙に置き換える場合は、持続可能な森林資源から生産された「FSC認証紙」を利用しましょう。

包装資源を徹底的に削減しましょう

包装を削減した企業の事例などを詳しくお伝えしてきました。さまざまな企業が包装の削減に取り組んでいますが、環境負荷を大きく減らすためにはよりサステナブルな包装にする必要があります。

今後、ますます環境破壊に危機感を持つ人が増え、環境に配慮していない企業や商品は支持されなくなるかもしれません。いち早く、目に見える形で環境負荷を減らしていきましょう!

(ライター:小森 さほ)

【参考資料】

2021年 プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況 マテリアルフロー図|一般社団法人 プラスチック循環利用協会
プラスチックごみと温暖化-映像を視る|かながわ気候変動WEB
カーボンニュートラルで環境にやさしいプラスチックを目指して(前編)|経済産業省資源エネルギー庁
マテリアルリサイクルによる天然資源消費量と環境負荷の削減に向けて|環境省
一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和2年度)について|環境省
プラスチックの原料は?|中学生・高校生・市民のための環境リサイクル学習ホームページ
ゼロ・ウェイスト「Loop」取り扱い店舗|イオン
耐久性のある容器|Loop Jp
ローソン店舗では初となる日用品の量り売りを開始|ローソン
ローソンが量り売り店舗拡大 適量のナッツが手軽に|NIKKEI STYLE
Mile stones|ecostore(エコストア)日本公式オンラインショップ
ソーセージの巾着型包装を廃止 業界がプラスチック削減で|産経ニュース
「The GRAND アルトバイエルン127g」など巾着形態商品を環境配慮型へ| 伊藤ハム
繰り返し使える店内グラス本格スタート3月末の全国1,500店舗導入に先駆け、2月20日(月)から約100店舗で提供サステナブルな選択肢で、リソースポジティブカンパニーの実現を加速|スターバックス コーヒー ジャパン
紙コップの最期|OurWorld 国連大学WEBマガジン
森を守るFSCマークとは|Forest Stewardship Council


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