コラムCO2削減

ローカルプロダクト購入でCO2削減!国内・海外企業の事例を紹介

2023.08.24

近年、地元地域で生産された農作物・製品などの「ローカルプロダクト」を購入して事業に利用する動きが高まっています。

周辺地域で作られたローカルプロダクト購入により、遠方から仕入れるよりも輸送にともなうCO2排出量を削減できます。最近は国内の企業でも、地元の製品を使ったユニークなプロジェクトが行われるようになりました。

この記事では、ローカルプロダクトを使った国内・海外企業の事例をご紹介します。ローカルプロダクト購入にともなうメリット・デメリットも解説していますので、合わせてご覧ください。

ローカルプロダクトの購入とは

「ローカルプロダクト」とは、その地域で生産された農作物・製品を指します。ローカルプロダクトを購入・利用することは日本では「地産地消」と呼ばれ、以前から学校・施設給食の場で取り組まれてきました。

最近では農作物のみならず、工業製品や機械、文房具などその地域にある事業所で作られた製品を購入・利用することも「ローカルプロダクトの購入」と考えられています。具体的には次のような取り組みです。

・地元の製品を事業に活用
・地元で仕入れた農林水産物を使って製品を生産
・社内で使うオフィス用品・家具などを地元で調達

SDGs17の目標では、「14:海の豊かさを守ろう」「15:陸の豊かさも守ろう」などに関係しています。ローカルプロダクトを利用することで地域活性化に繋がると、「8:働きがいも経済成長も」にも貢献できるでしょう。

【参考資料】
SDGs17の目標|日本ユニセフ協会

ローカルプロダクトを利用するメリット

日本は島国であるため、海外から原材料・製品を仕入れる場合はどうしても飛行機・船などを使用します。国内の仕入先であっても、遠方であれば長距離トラックによる排気ガス量も増えるでしょう。

現在、海外などから仕入れている製品を国内のものに、それも地元の製品に変えれば運輸によるCO2の発生を抑えられます。企業という場だからこそできる環境対策です。

そのほか、ローカルプロダクトの購入には次のようなメリットもあります。

・生鮮食品の鮮度を保ちやすい
・地元経済の活性化に貢献できる
・地域との交流が生まれ、CSR活動としてもアピールできる
・国外で戦争・災害などが起こった場合も事業への影響が低減できる

【参考資料】
運輸部門における二酸化炭素排出量|国土交通省

ローカルプロダクトの利用で起こりうるデメリット

ローカルプロダクトの購入・利用には多くのメリットがありますが、デメリットとして次のような変化が起こる可能性もあります。

・販売価格が上がる
・生産以外のコスト・手間(開発費・人件費など)がかかる
・安定した仕入れが難しい場合もある

事業活動にローカルプロダクトを取り入れるには、メリット・デメリットのバランスを鑑みながら推進するのがおすすめです。

ローカルプロダクトの購入事例

「ゼットン」と「プランティオ」の「Farm to Table」実証実験

国内外で多様なジャンルの飲食店を70店舗以上経営する「株式会社ゼットン」は、次世代型の「シェアリングIoT農園」を提供する「株式会社プランティオ」とともに「Farm to Table」の実証実験を始めました。

「Farm to Table」は日本語だと「農園から食卓へ」と訳される言葉で、その場で育てた農作物をその場で食べるという取り組みです。自宅での家庭菜園のように、飲食店に併設された農園で育てた野菜などをそのお店で提供することを指します。

郊外にあるレストランやカフェなどでは時折見られるかたちですが、ゼットンは渋谷にある本社ビルの屋上にプランターを設置、プランティオが開発したIoTセンサー「grow CONNECT」とアプリ「grow GO」を使って野菜を栽培・収穫する実験をしています。大手企業が「Farm to Table」に取り組んでいる事例はまだ少なく、飲食業の新しい形態へのチャレンジに期待が寄せられています。

【参考資料】
屋上農園に種まきをしました!|株式会社ゼットン
grow FIELDについて|株式会社プランティオ

「熊澤酒造」のローカルプロダクトシリーズ

神奈川県茅ヶ崎市の「熊澤酒造株式会社」では、「ローカルプロダクトシリーズ」と銘打って、県産食材を使ったビールを生産・販売しています。

神奈川県内で生産される柑橘類やハーブ、しょうがを使ったお酒・ビールのほか、地元の養豚業とのソーセージ作りにも取り組んでいて、多くの消費者からも好評です。

熊澤酒造は20年以上前からこのような地産地消のプロジェクトを始めました。現在では、酒蔵の敷地内に地元農家が日替わりで出店する「mokichi green market 」も行っています。

【参考資料】
ローカルプロダクトシリーズ|熊澤酒造株式会社

「株式会社ELD」の地元産木材を利用したものづくり

岡山市の「株式会社イールドインテリアプロダクツ」(以下「ELD」)は、2022年から岡山県北部の「雑木」を使った家具を制作・販売する「ELD LOCAL PROJECT」を始めました。

岡山県北部の森林は、6割が「雑木」と呼ばれる経済的価値の低い木材に占められています。スギ・ヒノキなどのように建築資材として使えるように管理しながら育てられた木材と違い、雑木は建材としても、薪・バイオマスなどの燃料としても利用しづらいため、放置状態が続いて森林荒廃に繋がっていました。

ELDはものづくりの高い技術を生かし、雑木を家具として製品化することで新たな価値を見出し、森林保全や県内の林業にもよい循環を起こしています。

【参考資料】
【ELD LOCAL PROJECT】POP UP STORE|ELD INTERIAR PRODUCTS

長野県伊那市の「製造業ご当地お土産プロジェクト」

長野県伊那市は製造業が盛んな地域です。しかし近年、発注先である多くの企業が海外に生産拠点を移し、伊那の製造業も勢いをなくしていました。

「製造業ご当地お土産プロジェクト」は、伊那でものづくりを続けたい企業が協力して「新しい仕事の創出」として始めたプロジェクトです。それぞれの企業の技術を伊那市の名物やゆるキャラと掛け合わせた商品は、お土産としても工業製品としてもクオリティが高いと評判を呼んでいます。

このプロジェクトでは「完全地産」をモットーに掲げ、企画から製造・梱包まですべて伊那市の企業で行っています。市役所や商工会議所にも協力を仰ぎ、イベントなどで販売してもらうことで安定した生産ができる環境を整えました。

参加している企業の多くは、下請け業者としての仕事が多い町工場です。それぞれが連携することで完成品を製造するこのプロジェクトは、伊那市全体の活性化にも繋がっています。

【参考資料】
【完全地産】製造業ご当地お土産プロジェクト – 長野県伊那市

「大塚製薬」の地元産の食材を使用した社員食堂

「株式会社大塚製薬」の徳島工場では地産地消に力を入れていて、社員食堂を設立した平成元年当初から徳島県産の食材を利用したメニューを提供しています。この取り組みが評価され、令和2年度には農林水産省の「地産地消等優良活動表彰」で「中国四国農政局長賞」を受賞しました。

平成19年から県産野菜を使ったサラダバイキングを設置し、社員の野菜摂取量の増加にも貢献しています(新型コロナウイルスの流行により休止)。最近は社員食堂の管理栄養士が県内の産地を訪れ、新しい食材・生産者を見つけ出す取り組みも始めました。社員食堂と生産者が直接つながることで、大塚製薬と地域との交流も深まっています。

【参考資料】
受賞者の概要|中国四国農政局
株式会社大塚製薬工場(徳島県)|関西広域連合

海外ではユニークな地産地消の事例も

海外にも、ユニークな形でローカルプロダクトを利用している企業事例が多数あります。ここでは、欧米の事例をいくつかご紹介します。

先ほどご紹介した「Farm to Table」を、スーパーマーケットで実践している企業がドイツの大手スーパーチェーン「REWE」です。REWEは、店舗2階の温室で育てた野菜・魚を販売する新しい形態のスーパーマーケットを始めました。将来的にはドイツ全土に同じ形態の店舗を建設していく計画です。

また、アメリカ・オレゴン州の「ニューシーズンズ・マーケット」は、商品の約8割が地元産のオーガニックスーパーです。地元で収穫された旬の食材を、生産者の紹介パネルとともに並べています。店内では生産者と消費者が交流できる機会も多く、地元住民に愛されているスーパーです。

料理人やカフェオーナーなど、飲食業に関わる人々も温室効果ガス削減に着目しています。

ロンドンのレストラン「ウェアハウス」では、ライムを使わないカクテル「マルガリータ」が人気です。ライムの多くは地中海沿岸の国から輸入されるため、ロンドンで使用するには温室効果ガスの発生が避けられません。ウェアハウスでは、ライムを使わずに独創的なカクテルを生み出すことでCO2削減に貢献、さらに店の看板メニューとしても成立させました。

【参考資料】
REWE Green Farming – Supermarkt umgedacht|REWE
NEW SEASONS MARKET
Warehouse

注目される「エネルギーの地産地消」

2016年の「電力自由化」から、今までの大規模な火力・原子力などによる発電に加えて「新電力」や「地域電力」など多様な電力会社が登場してきました。太陽光・バイオマスなどの再生可能エネルギーで発電している地元企業から電力を購入することも「ローカルプロダクトの購入」です。

このような「エネルギーの地産地消」は、全国各地に中小規模のエネルギーを分散させる「分散型エネルギー社会」の実現に向けた取り組みです。エネルギーの生産にともなうリスクが1カ所に集中することを防ぎ、CO2の排出量も削減できるなど、地域住民にも環境にも優しい街づくりを目指しています。

【参考資料】
地域エネルギー|経済産業省 関東経済産業局
再生可能エネルギーとは|資源エネルギー庁
知ってる?「電力の地産地消」|資源エネルギー庁

まとめ

「ローカルプロダクト」「地産地消」といっても、現在はさまざまな形の購入事例があります。

地元企業の製品や地元産の原材料・農作物、電力などそれぞれの企業が取り入れやすいものから導入・CO2削減に貢献できるのがローカルプロダクトの魅力です。企業の事業活動ではある程度の量をまとめて購入できるため、温室効果ガス削減の効果も数字としてわかりやすいでしょう。
環境対策としてだけではなく、地域経済の活性化や地元住民との交流にも繋げていけるとCSR活動としてもアピールできます。ぜひこの機会に、事業活動に取り入れやすそうなローカルプロダクトを探してみてください。

(ライター:佐藤 和代)


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