コラム再生エネルギー

サステナブルな水産業を追求!代替エネルギーで未来を考えた取組みを実践!

2021.01.14

みなさんの企業では、持続可能な社会に関してどのような取り組みをされていますか?

このサイトをご覧になっているということは、きっと何か具体的なアクションを起こしていたり、起こそうという想いがあるのではないかと思います。

「省エネ」って、具体的にどういうことでしょうか?

なぜ省エネをする必要があるか、あなたの会社の仲間たちは説明できるでしょうか?

私たちの生活とエネルギーの関係

省エネとは、文字通り「省エネルギー」の略です。石油や石炭、天然ガスなどのエネルギー資源には限りがあり、それらがなくなってしまうことを防ぐため、エネルギーを効率よく使うことをいいます。

現在の私たちの生活はエネルギーの消費によって成り立っています。電気、ガス、水道はもちろん、運輸や通信をはじめ食料品、衣料品など様々な製品は生産や流通過程においてエネルギーを利用していますね。

このように、私たちの生活は、直接的にエネルギー(電気・ガス・ガソリンなど)を使用するだけではなく、様々な形でエネルギーを消費することによって成り立っており、人間とエネルギーは切っても切れない関係なのです。

日本はどのようにしてエネルギーを生み出しているのか?

日本は、海外から輸入される石油・石炭・天然ガス(LNG)などの化石燃料を主に利用しています。 化石燃料への依存度は年々高まっており、原油は99.7%、L NGは97.5%、石炭は99.3%、すべての化石燃料のうち87.4%(※1)が海外から輸入したものを使用しています。

また、日本のエネルギー自給率は2017年の時点で9.6%、OECD諸国の中でも34位(※2)と低い水準なのです。

基本をおさらい! 省エネの必要性

なぜ省エネをする必要があるのか? 基本を確認しておきましょう!

電力やガス、ガソリンを作るためには、石油や石炭、天然ガスなどを大量に燃やす必要があります。 

それらの資源を燃やすと二酸化炭素などの温室効果ガスが発生し、それが原因で地球全体が温かくなっていく「地球温暖化」が進んでいくのです。地球温暖化は気温の上昇だけでなく、海面の上昇から熱波、大雨や洪水、干ばつなどの気候変動も引き起こします。近年の日本では気温の上昇や大型台風の通過による被害、農作物の不足なども深刻です。

また、地球温暖化は自然への影響も強く、生態系にも大きな影響を与えており、動植物ともにその変化や絶滅といった個体の消滅も起こっている現状があるのです。このことから、私たちのエネルギーの使い方がいかに地球に影響を与えるかが分かります。

そこで、今回はエネルギー問題に積極的に力を入れている企業の取り組みをご紹介していきます。

まぐろ業界の若き新星が、サステナブルな水産業を追求! 

日本の多くの家庭の食卓で愛されている魚。その中でもまぐろは人気のお刺身ランキングなどでも上位のごちそうです。

神奈川県の三浦半島、その最南端に位置する城ヶ島にある「三崎恵水産」は、自然豊かなこの地で50年続くまぐろ専門の卸問屋です。熟練した職人の目利きで、世界中から仕入れた質の高い旬のまぐろを全国へ届けています。

社長の石橋匡光さんは、会社のエネルギーの消費について以前から問題意識をもっていました。

多くの燃料を使ってまぐろを遠洋まで獲りに行き、持ち帰ったまぐろは品質を保持するため超低温の冷凍庫で保存しなければならない。こんなにエネルギーを使う業界だからこそ、まずは自分たちでできることから始めたい

と、様々な行動へと踏み切ったのです。

目指せRE100! ソーラーパネルを設置し自然の恵みを生かして工場を操業

自社で消費するエネルギーを100%再生可能エネルギーにする、「RE100」を実現するべく、三崎恵水産は法人で初めて「自然電力」と契約を結びました。

自然電力」とは、Operation Greenのパートナー企業でもあり、日本全国で太陽光・風力・水力等の自然エネルギー発電事業に携わっている企業です。三崎恵水産はまぐろ加工場の屋上にソーラーパネルを設置し、第2加工場はすべて自然エネルギー100%由来の電気へ切り替えて稼働させています。「地球に負荷をかけることなく」、自然の恵みを生かした電力供給へと切り替えることで、化石燃料由来の電力の消費を抑えることが実現しているのです。

自然の電力を活かして「まぐろ肥料」に着手! 

まぐろを加工する際に出る「加工残渣(ざんさ)」を有効に使うことはできないかと考え、コンポストマシンで肥料化することに成功。自然電力のエネルギーでコンポストマシンを稼働させた、まさにサステナブルな肥料です。

肥料は地元の農家に提供しており、成分データの分析によると、この肥料を使った野菜は成長を促す窒素が突出して高く、新芽が出るのも早いという結果が得ているそうです。自然の恵みを余すことなく利用する、自然へのリスペクトが感じられる取り組みで。

未来の食卓にまぐろが並ぶための漁業を推進

  「まぐろの安さを追求してしまう業界であっては、まぐろの生態系に歪みが出てしまう。まぐろは未来の子供たちの食卓に並ぶご馳走であってほしい」と、まぐろの漁獲方法についても特色があります。

「近海メジマグロ」と呼ばれる10kg未満のまぐろや、資源枯渇化の原因と考えられている巻網船のまぐろは扱わず持続可能な漁業を推進しています。漁獲枠で割り当てられた高品質なまぐろのみを仕入れて、日本全国の消費者へと届ける仕組みを作っているのです。

遠洋へ行くことを生かした、自然と身体にやさしい加工品

三浦は遠洋漁業の基地としても有名で、ここから大型の遠洋漁業船が太平洋・大西洋・インド洋に向けて出航します。

三崎恵水産では、エーゲ海などへまぐろを買い付けに行く際に、現地のまぐろ漁に携わる漁師が漁閑期に収穫したオリーブで絞ったオリーブオイルを特別に分けてもらいます。

刺身としても販売ができるほど高品質のまぐろと、「まぐろ肥料」で地元農家が作った野菜、そしてこのオリーブオイルを使って「まぐろコンフィ」という加工品を製造。化学調味料、保存料など添加物を使用せず自社で手づくりする、まぐろの恩恵を循環させたサステナビリティーあふれる商品の製造にも目を向けているのです。

目利きのスキルをAIに託して次世代へ

「三崎恵水産の基準を世界の基準へとつなげて、まぐろを次の世代に繋げていきたい」。まぐろの品質を選別するアプリのアドバイザーの一員として、自社の目利きの基準をAIにディープラーニングさせることに協力しています。少子化の影響から、「まぐろの目利きの技術をAIに通した形で次世代へ引き継ぐことも重要」と考え、三崎恵水産が何十年もかけて築いた選別基準を提供しています。

自分たちが消費するエネルギーやまぐろのことを考え、未来を生きる人たちへと豊かな魚食文化を繋いでいきたい。

そんな、希望あふれる想いを軸に、「美味しくてサステナブル」にこだわった取り組みを行っています。

三崎恵水産の取り組みはいかがでしたか?

皆さんも、エネルギー消費や次世代のことに想いを巡らせると「できることから始められること」がきっとあると思います。サステナブルな取り組みが当たり前になる世界を目指して、まずは何か一つはじめてみませんか?

※1※2:資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」 

ライター・上崎 有紀)

 

<参考>

自然電力株式会社 代表取締役 磯野謙さんがエネルギー消費について教えてくださった講座のレポートはこちらから!
→「自然エネルギー100%の実現を目指す磯野さんからエネルギー消費について学ぶ!オンライン講座「Stay at home, Eco at home」開催レポート


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