取組紹介廃棄物

アパレル企業が取り組む衣類のリユース活動事例

2020.01.31

日本にはもったいないという言葉があります。日本には再利用の考え方や技術は古くからあり、江戸時代の循環社会は世界最高水準を誇りました。

ですが、大量消費社会を経た現代では、アパレル業界を例にとれば、市場に出される約30億点の衣服の半数が売れ残っているのが現状です。なかには新品のものが使用されないまま、処分されるケースもあります。

そんな大量廃棄が当たり前になってしまった現代で、リユースに力を入れている有名企業もあります。

この記事では、リユースについて解説しながら、リユースの取り組み事例をご紹介していきます。「衣食住」に欠かせないアパレル業界での取り組みを通じて、環境のために何ができるのかを考えるきっかけになれば幸いです。コンパクトにまとめてみましたので、まずはご一読を!

3Rの1つ、「リユース」とは

Reuseの意味は「再利用する」です。言葉の通り、使用しなくなったものを、他の場所でものはそのままの状態でもう一度利用することです。

身近な例でいえば、古着屋や、メルカリなどのインターネットオークションも「リユース」の事例です。フリマアプリやブランド買取サービスなどの普及は「リユース」しやすい社会を実現しているともいえます。

リサイクルとの違い

再利用という点では、リユースもリサイクル同じですがリユースとリサイクルの違いは、「一度資源に戻すかどうか」という点にあります。

・リユースは回収したものをそのまま再利用します

・リサイクルは回収したものを一度資源にもどして新たに別の製品をつくります。

ただ、アパレル業界においては「リサイクル」もそのまま活用される「リユース」と同義でつかわれていることも多いのが現状です。

リユースの社会的メリット

リユースは、そもそも製品を作るために必要なエネルギーを使いません。また、一度資源に戻して新たに別の製品をつくる「リサイクル」では、そのプロセスにおいてCO2が排出されてしまいますが、リユースは、物をそのままもう一度使う方法なので、CO2排出量も少なく済み、再生産の企画、製造、輸送などの手間や費用も発生しません。そのためエコで、かつ、経済的です。

使わなくなった服を買いとり、キレイにし、また販売する。それは、まさに環境にやさしい循環なのです。

また、アパレル企業ではリユースの用途として難民キャンプや被災地への緊急災害支援など、世界中の服を必要としている人に届ける企業もあり、環境に優しいだけでなく、リユースが社会貢献につなげていることもあります。

リユースに取り組むアパレル企業事例

それでは実際のアパレル企業のリユースに対する考えや取り組みをご紹介しましょう。

ユニクロ 〜世界中の服を必要としている人たちへ〜

ユニクロや、系列であるGUでは「世界中の服を必要としているすべての人に、本当によい服を届ける」ことを目指しています。そしてこの理念のもと、全商品をリサイクルする活動を行っています。

この活動では、使用しなくなった衣類を全国のユニクロとGUの店舗で回収し、集めた服は一度国内の倉庫に回収し、それから世界中の服を必要としている地域(難民キャンプなど)に届ける仕組みとなっています。寄贈先については、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)や世界各地のNPO・NGOと協力し、必要な数量や種類、配送ルートを確認して、衣料支援活動を進めています。

ユニクロは2006年からこの活動を行っており、2019年8月時点では、

・回収点数 9,079万点(22の国と地域 )
・寄贈点数 3,657万点(72の国と地域)

という実績です。寄贈されなかった衣料は、金属を取り除いてから紙とプラスチックを混ぜ合わせて圧縮することで、廃棄物固形燃料にして再利用されています。固形燃料は、石炭など化石燃料の代替として、大手製紙会社の専用ボイラーで使われています。石炭や化石燃料の代わりになるという点で、リユースされなかった衣類もエコな活動につながっています。

H&M ~他ブランドの服もいらない靴下も、布製品なら何でも回収〜

店舗で回収を行うリユース、リサイクル活動を行う企業は複数あるが、「状態がよく」「自社ブランドのもの」で、「靴下や下着などはNG」というケースが多いのですが、「布製品なら何でもOK」と懐深くリユース・リサイクル活動を行っているのが、H&Mです。

H&Mでは、2013年より全世界の店舗にて古着回収活動をスタート。自社ブランドのものだけでなく、他ブランドの服はもちろん、片方だけになった靴下やカーテンやテーブルクロスなど、布製品ならすべて回収しているのが、他のアパレル企業と大きく異なる点です。

パタゴニア〜新品よりもずっといい〜

パタゴニアのCEOであるローズ・マーカリオは、「個々の消費者として惑星のために私たちができる最善の行動は、モノを長持ちさせることです」と言います。

パタゴニアでは「Worn Wear」という、製品をお客様に長く使ってもらい、修理不能になった製品を簡単にリサイクルするための方法を提供するプログラムを展開。

「そのフリースもう着ていませんか?ならば、それを必要とする人に譲りましょう。サーフィン旅行のために貯金をしていますか?パタゴニア製品の売買と交換は簡単です」と利用を呼び掛けています。

もともとパタゴニアでは、自社で製造・販売を手掛けている商品を「永久保証/Lifetime Warranty」という考え方で保証しています。この保証は、「なるべく長く使い続けて欲しい」「修理は急進的な行為である」「不必要な過度な購買はしないで欲しい」という企業の考え方から生まれ、約40人の修理スタッフが、年間約3万点の修理を行なっています。

もとより、パタゴニアは製造の段階から修理可能な高品質の製品を作っていることで有名です。基本の考え方は「修理(リユース)」、そして修理不可能になったらリサイクルというプロセスになっており、地球に配慮した活動を行っています。

まとめ

今まで当たり前に廃棄していたものを見直し、リユースやリサイクルを行う方法を考えることが地球の資源を守ります。

また、「リユースできるから」「リサイクルに取り組んでいるから」ということが、環境に配慮した消費者の購買理由になることもあります。リユースやリサイクルの仕組みを整えるためには、廃棄するよりもコストがかかることもありますが、循環型社会のために、できることから始めてみるのはいかがでしょうか。

(ライター:山田浩平)


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