持続可能な社会の実現に向けて、教育は重要な分野のひとつです。
どうすれば子供たちに質の高いSDGsの授業ができるの? 情報はたくさんあるけれど、授業でどう活用すれば良いのだろう?と感じている先生も多いのではないでしょうか。
授業やこどもたちの生活で生かされるように、NPOなど各団体が提供する学校向けのSDGsプログラムについてご紹介します!
2001年に始まった「Think the Earth」は、「Think the Earthする人(=地球的視野で考え行動する人)や企業を 世界中に育て、増やしていくこと」をミッションに、官公庁や企業、クリエイターとのプロジェクトづくり、普及・啓発活動などを中心に活動するNPOです。
2018年5月から力を入れている「SDGs for School」は、より創造的なSDGs教育を実践するための、現場の先生と生徒を応援するプロジェクトです。
写真やマンガを使ってのSDGsの目標の説明や、世界の優れたアイデアの活動事例を紹介したビジュアルブック「未来を変える目標 SDGsアイデアブック」は発行部数10万部を超え、各県と協働して制作したアクションブックや英語版も発行されるほど幅広く活用されています。
また、この書籍を活用した年間での授業実施案や、社会課題や環境課題に取り組む企業やお店を取材して記事を書く方法などを紹介する書籍の活用ガイドもダウンロードできるので、長期的、具体的に学習を計画することができます。
→SDGs for School教材について詳しくはこちらから
また、「生物多様性」や「水」がテーマの環境教育を目的としたデジタルプラネタリウム番組「みずものがたり」「いきものがたり」は、自主上映も可能です。
「SDGs for School」の前身となった、経済産業省資源エネルギー庁の再生可能エネルギー普及促進事業、「GREEN POWERプロジェクト」の一環でスタートした「グリーンパワースクール」のサイトでは授業のヒントにもなる各学校の実践例やアイデアを見ることもできます。
Think the Earthの理事・上田壮一さんは、このOperation Greenのアンバサダーとしてもご協力いただいています。
一般社団法人イマココラボは「気づきによって社会システムと個人の意識の両面のトランスフォームすること」をテーマに、カードゲームを用いたワークショップや人材育成事業などを行う一般社団法人です。
SDGsを体感できるカードゲーム「2030SDGs」は、ニューヨークの国連本部でもワークショップが開催されるなど20ヶ国15万人が体験し、世界で600人以上の公認ファシリテーターが活躍。企業や自治体、学校向けの研修サービスも行っています。
<カードゲーム「2030SDGs」の特徴>
・SDGsの17の目標を達成するために、現在から2030年までの道のりをわかりやすく体験できる内容。
・「なぜSDGsが私たちの世界に必要なのか」、「それがあることによってどんな変化や可能性があるのか」といったSDGsの本質を理解できる。
・参加人数は最小5人から50人程度だが、ゲーム内にパラレルワールドを作ることで最大で200人程度まで同時プレイできるように設計されている。
・ゲームの後の解説と振り返りを含めると最短2時間から、通常は3時間半程度でプレイが可能。
ゲームは、実施後の振り返りとセットにすることではじめて深い学びとなることから複数コマを使う形が一般的で、公認ファシリテーターが学校へ来校して実施します。
ゲームがもつ面白さと気軽さで知らず知らずのうちに熱中し、楽しみながらSDGsの本質を理解でき、自分たちの選択や行動を通して世界を創っていくという深い気づきを体験できます。
2000年に設立されたこども国連環境会議推進協会(JUNEC)は、国際連合大学と連携して持続可能な社会を創る人材を育成するNGOです。
「世界は、つながることでもっとよくなる」をコンセプトに、主に中・高・大学生を対象に、持続可能な社会作りに向けて先進的な取り組みをしている企業や研究機関、自治体など、様々なステークホルダーと連携した共創型・探究型学習プログラムを提供しています。
<JUNECのプログラムで大切にする4つの経験>
1.コンフリクト(葛藤)の中から人々と合意する経験
2.多種多様な背景をもつ人々と協働する経験
3.「1人でコツコツ」ではなく、人を巻き込む経験
4.論理と感性を駆使したアウトプットを行う経験
以上の経験を大事に、「探究」と「対話」、そして「共創」を重点にデザインされた、一方的な知識伝達型の授業ではなく、双方向型の学びの場を提供しています。ポストイットや模造紙を活用したワークから、カードを活用したリフレクション、体を動かす身体系のワークなど、プログラムの目的に応じて様々なテーマとメソッドを組み合わせて提案してくれます。
特に近年は、レゴ®ブロックを活用したメソッド「レゴ®シリアスプレイ®」を活用した「手を動かして創り語るプログラム」を通して、 SDGsの視点で自分や社会を捉え直し、参加者が自分と世界や社会課題とのつながりに気づき、学びを深めることを目的としたワークショップ型プログラムにも注力し、出張ワークショップのサービスも提供しています。
prohect WETジャパンは、水に関する教育プログラムの開発などを行うアメリカが本部の「プロジェクトWET財団」の使用権を得て(公財)河川財団が運営している団体です。
団体名の「WET」は「Water Education for Teachers=教師のための水に関する教育プロジェクト」の略で、教育活動を通じて水や水資源に対する認識・知識・理解を深め責任感を促す ことを目標として開発されました。指導者が一方的に知識を与えるのではなく、アクティビティを実践しながら子供達自身が「水」そのものや その重要性について考えられるアクティブラーニング型の教育プログラムを提供しています。
<プログラムの特徴>
・NASAや国連の専門機関であるWMO(世界気象機構)など、300人以上の資源管理者・科学者等により開発され、 600人以上の教師と34,000人の生徒たちによってテストされたプログラム。
・水循環や水の特性、防災や水の文化などを学べるプログラムを提供。計算を行ったり、身体を動かしたり、水に対する思いを絵や文章で表現したりと多様な体験の機会を得られる。 水に関する知識を深めるだけでなく、グループワークを通じ、意見調整能力や発表能力、リーダーシップな どの能力を高めることができる。
・「水」という特性から身近な地域の学習に応用しやすい。
・地域の課題を学び、解決策を見出すSDGsや防災教育の取り組みとしてその土地の自然や文化、歴史など横断的な学習に繋げることができる。
授業で取り入れる際は、全国で活動するファシリテーターによる授業を行うか、プロジェクトWETの「エデュケーター講習会」を受講・修了し、エデュケーター(一般指導者)となることで自らプログラムを実践することもできます。
各団体の取り組みはいかがでしたか?日本でも多くの団体や企業がSDGsというテーマを通じて、社会の創り手である子供たちの総合的成長を考えたさまざまなプログラムを提供しています。
当サイトを運営するEARTH COMPANYでも、オンラインで学べるSDGsをテーマとした高校・中学校の探究学習向けプログラム「IMPACT ACADEMY for Schools」を提供しています。バリ島からのオンライン講演や、アジア太平洋地域で活動するチェンジメーカー「IMPACT HERO」の人生の物語をベースにした動画教材を用いて、頭と心で、社会課題の構造的・根本的な理解を深める学びを提供します。
世界で何が起こっているのかを知り、自分は何ができるのかを考えるための実践的なプログラムです。
9月18日には、「右脳・左脳・心を使って、SDGsを自分ごと化する探究学習『IMPACT ACADEMY』」と題して、先生がSDGsの授業未経験でも、生徒と一緒に頭と心で楽しく学べる見所を紹介する無料のオンラインウェビナーを開催します。
皆さんと一緒に学びを深められる時間を楽しみにしています!ご参加お待ちしています!!
(ライター:上崎有紀)