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生徒が地域と連携した環境教育の取組事例!地域の自然環境・人材を活かす!

2022.01.05

次世代を担う子供たちが環境に関する理解と関心を深めるため、学校での環境教育の重要性がますます高まっています。同時に、学校が地域にとっての環境・エネルギー教育の発信拠点になることも重要です。

「生徒と地域が連携した環境の取り組みには、どんなものがあるのだろう?」と感じている人もいるのではないでしょうか。そこで今回は生徒と地域が連携した環境教育の取組事例を3つテーマ別に、

・継続で理解を深める取り組み編(出前授業の先生は高校生・教室は東京湾最大規模の干潟)
・地域住民と連携した取り組み編(共同管理のビオトープづくり、環境教育コーディネーター制度)

紹介します。事例を参考にしながら、生徒と地域が連携した取り組みのイメージを掴んでいきましょう!

継続で理解を深める取り組み編

教室は東京湾最大規模の干潟

最初に紹介するのは、生徒が地域の自然と連携した、継続的な環境教育の取り組み例です。

千葉県にある木更津市立金田小学校で、25年ほど前から、盤州(ばんず)干潟での環境教育に取り組んでいます。盤州干潟の面積は、1400ヘクタールで東京湾で最大規模の広さがあります。生徒たちは卒業までの6年間、干潟でのフィールドワークと調べ学習を行い、

・1、2年生テーマ「干潟に親しむ」…干潟に生息する生物や草木を使った遊びを考え、やってみることで、干潟が身近で楽しい遊び場となる。
・3、4年生テーマ「干潟を知る」…干潟の生物を「貝・カニ・植物・魚・鳥」の5種類に分け、興味のある生物の特徴などを調べ、現地で観察を行い「干潟図鑑」をつくる。
・5、6年生テーマ「干潟への理解を深める」…盤州干潟と他エリアの干潟を比較し、世界の環境問題についても調査の対象を広げ、レポートを仕上げる。干潟のゴミ拾いを行う。

というようなテーマを決め、活動しています。

また、

・地元の漁業者にによる、干潟で多く採れるアサリの浄化作用をテーマにした特別授業
・大学教授を招いた干潟の生き物についての授業

など、地域の講師や専門家の協力も得ています。

6年間のさまざまな体験を通して、生徒は干潟に親しみ、理解を深め、自分達の住む地域の干潟が持つ豊かな生態系や特性を知ることができます。また、地域への愛着や環境問題への興味・関心へと繋がる効果的な活動です。

出前授業の先生は高校生

地域の学校同士が連携した環境教育を、10年以上継続する取り組み事例です。

岩手県にある県立黒沢尻工業高等学校では、高校生が講師を務める出前授業を県内の小中学校で実施しています。3年生と専攻科の生徒が中心となり、実験を中心とした体験型の授業の主な特徴は、

・使用する教材の製作から進行までを高校生が行う
・授業で使用した生徒手づくりの実験道具は小中学校に寄贈する

という点です。

小中学校の生徒に理解してもらうには、より分かりやすい言葉や方法で教える必要があるため、教える側の高校生が内容を深く理解する必要があります。

「科学技術と人間」をテーマに実施した中学校3年生の授業では、再生可能エネルギーや放射線の性質について説明し、火力、水力、風力などの各発電と燃料電池の概要を、できるだけ専門用語を使わず、やさしい言葉で説明するよう心掛けて紹介しました。

教えるために学ぶことで、高校生の学習習慣が身につきます。同時に、出前授業での試行錯誤の繰り返しによって、高校生たちがいきいきとやる気を出して自ら物事に取り組む姿も見られるそうです。授業で使用する生徒手づくりの実験道具を小中学校に寄贈することは、小中学校の生徒の学習意欲を高めるとともに、地域の教育環境の向上にもつながります。

10年間の取り組みは全国的にも高く評価され、「エネルギー教育賞」(日本電気協会・文部科学省主催)の最優秀賞などを受賞しています。

 

地域住民と連携した取り組み編

地域住民と共同管理のビオトープづくり

生徒が、地域住民と連携した環境教育の実践例を紹介します。

東京都板橋区の蓮根第二小学校では、地域住民と連携したビオトープの整備と校庭の芝生化に取り組んでいます。総合的な学習の時間を中心に、ビオトープの生物の調べ学習、芝生の植え付け、蓮の栽培等を実施し、生徒と保護者、教員が協働してビオトープを手作りで整備しています。

その特徴は、

・地元の荒川に生息する生物や植物だけを用いて、地域風土になじむ工夫
・児童、保護者が一緒に芝を張り、校庭を芝生化
・自分たちでつくることで愛着を持ち、その後の維持管理へ意識付けている
・「地域コーディネーター」が校庭の芝生管理マニュアルを作成し、地域の専門家の指導のもと、児童や保護者を中心とした「芝生見守り隊」が校庭の芝生を管理
・この地域で盛んに行われていた蓮の栽培について、地域の専門家から講義を受け、校内で10種類の蓮を生徒たちの手で栽培

です。

身近な校内ビオトープを通じて命の大切さ、植物や地域の歴史について学ぶことができます。地域ぐるみで管理を行うことで地域の環境保全活動に対して、愛着を持って継続的に取り組む態度を育てることにも繋がります。

校庭を芝生化することで、怪我を防止し、さらに近年の猛暑でも芝生で地表温度が抑えられ、屋外教育環境も充実しているそうです。

環境教育コーディネーター制度

自治体によっては「環境教育コーディネーター」などの人材制度があります。市、事業者や学校等のさまざまな主体が協働・連携した環境教育・学習の推進を図るため、市内の各主体を調整して活動をつなぐ存在です。

各地域の人材制度を利用することも、生徒と地域が連携した環境教育の実現に有効です。

※各都道府県の人材制度一覧についてはこちら

最後に

今回は生徒が地域と連携した環境教育の取組事例について紹介しました。

・地域の資源を利用し、継続して取り組む
・地域の生徒同士で互いに学び合う取り組み
・地域の住民やコーディネーターと協力した取り組み

など、さまざまな取り組みから、自分たちの地域にある環境資源はどのようなものか、生徒が主体となって活動しているイメージを、考えるヒントになったと思います。今回の事例を参考にしながら、自分の学校や生徒の実情に合わせた環境教育活動を考えてみてください。

                            (ライター:上崎有紀)

<関連リンク>

・木更津市立金田小学校:「育ちゆく環境への思い 地域の環境、色濃く反映「継続」と「地域連携」で広がる環境意識」「教室は東京湾最大規模の干潟
・黒沢尻工業高等学校:「出前授業の先生は高校生
蓮根第二小学校の事例
・「環境保全活動に関わる人材の制度」(環境省)

 

 


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