勤務されている学校ではパソコンを使用した“オンライン授業”を実施されているでしょうか?
ここ数年で発生した感染症の流行に伴い、ネットを使用したオンライン授業を実施する学校が増えています。オンライン授業は学校に通わずにネット上でやり取りやできるので、災害で通学できない場合や入院中、学校に行けない不登校の生徒にも安心して授業を受けてもらうことができます。そのため、このまま対面授業と並行して続けていくべきだという声も多く見られます。
今回はなぜ今後もオンライン授業を実施していくべきなのか、メリット・デメリット、今後の課題などをより詳しくまとめましたのでご覧ください。
オンライン授業はなぜ必要なのか?それは明確なメリットが多いからです。
例えば、
というような対面では難しいことも、ネットを通じたオンライン通信ならスムーズな意思疎通ができるので以上のことが可能です。もしネット環境が整っていなければ、オンライン上で簡単に繋がれるはずの人と繋がることができません。発達したツールがあるのにも関わらず使用しないのは非常に勿体無いことではないでしょうか。
中には「学校の授業はやはり対面授業でなければ」と主張する方もいらっしゃいます。しかしながら、国際的にICT(情報通信技術)が活発な今、教育を受ける生徒には、将来活躍する人材を育てるためにもICTを平等に学ぶ機会を与える必要があると唱える人もいます。
だからこそ、平等に教育が受けられる機関では、遠隔で他人と交流できる技術を身につけておくべきなのです。
もし家庭の事情で生徒がパソコン周辺機器を揃えられなくても、通信に必要なだけのパソコンとネット環境さえあれば校内でネット環境なじむことは可能となります。今後はこれからの時代に必要な教育は従来のカリキュラムに加え、遠く離れた相手とも繋がれるIT技術も必要となってくるでしょう。それでなくても日本全体のICT技術は世界に遅れをとっているため、まずは小さな一歩を踏み出していくことが大切です。
〈参考資料・記事〉
オンライン授業のメリット・デメリットをお話しする前に、オンライン授業には2種類存在していることをお話ししましょう。まず、オンライン授業には“オンデマンド型”と“ライブ双方向型”があります。
“オンデマンド型”はインターネット状に公開されているデジタル教材を使って好きな時間に受講できるもの、“ライブ双方向型”はリアルタイム視聴しながら講師の先生にチャット形式で質疑応答をすることが可能です。より対面授業に近いため、グループワークや音声で発言もできます。それを踏まえた上で双方について詳しく見ていきましょう。
これらのメリット・デメリットより、中学・高校の生徒への授業には時間のメリハリがきちっとできる“ライブ双方向型授業”がふさわしいのでは、とされています。オンライン授業を実施している多くの学校のほとんどがリアルタイムで授業を行う方法です。
また、オンライン授業は相応的に判断して、通信機器の設置や準備をしなければならないデメリットがあるものの、不登校の生徒の減少や将来への仕事への活用が期待できるという非常に大きなメリットがあります。そのことから、今後まだ実施できていない学校でも確立していくべき“勉強システム”だといえるでしょう。
〈参考資料・記事〉
・“学校は楽しい” オンライン授業で不登校が減少!? | 記者記事 | NHK青森コンテンツサイト | NHK
授業カリキュラムの遅延を無くすため、中学校・高校でもオンライン授業を導入する学校が増加しました。内閣府が2020年5月・12月に実施した調査で、その実数が明かになりました。
高校生で遠隔・オンライン教育を受けたのは、第1回調査では50.0%、第2回調査ではさらに減少し、29.2%となっています。一方、大学生・大学院生については、第1回調査では95.4%、第2回調査でも87.7%と高水準にあります。この結果を見ると、高校生の半数以上はオンライン授業を受けたことがないということがわかります。
このような背景には、家庭の事情によって通信機器を揃えられないなどのパソコン周辺機器の不足という問題があります。その他には、そもそも初期投資が必要なオンライン授業を必要だと思わないという意見もあるため、導入する学校が少ないと考えられます。
確かに今まで通り、対面授業だけを行なっていくのも良いでしょう。しかし、時代の波に乗れた学校教育は、IT業界の弱い日本にとって新しい風を吹かせてくれるはずです。大学生になればオンライン授業が一般化されることになるかもしれませんが、大学に行かず就職を選択する生徒にとっては高校でIT関連の知識を得ることは貴重なチャンスでしょう。
また、『平等に教育を受けることができるか』という観点からもオンライン授業の重要性を感じることができます。不登校の生徒や入院中で授業が受けられない生徒にとって希望の光となれるかもしれません。
〈参考資料・記事〉
日本学園ではオンライン授業と対面授業を組み合わせたハイブリッド授業を行なっています。一部の授業では会議アプリ『ZOOM』や『ロイロノート』などのアプリを使用しながら授業を進め、定期的に生徒にノートの写真を撮って送ってもらうという方法で授業についてこれているかをチェックしているようです。また、黒板にチョークで書きながら授業を進め、対面授業さながらの様子をリアルタイムで配信する形式をとっています。
また、本庄第一高等学校でもハイブリッド授業を実施しています。この学校では”ライブ双方向型授業”をメインで行なっており、あらかじめ用意している教材やスライドを投影しながらリアルタイムで授業を行なっています。また、部活も休止中を余儀なくされている期間はオンラインにて部活動を行なっていたようです。
対面授業には、集中力の維持や実験の授業、生徒間のふれあいなど、対面授業ならではの良さが多いです。しかし、天候による通学困難、感染症の流行などの際には、オンライン授業は非常に役立ちます。今後さらにネット社会が進んでいくのであればオンラインでのやり取りに慣れておくことは生徒たちにとって有益です。そのため、『対面授業だけ』とするのではなく、オンライン授業を組み込み、『ハイブリッド授業』を実施していくことにメリットを感じざるを得ないでしょう。
入院している生徒の生徒にもオンライン授業は便利な勉強手段になっています。まだまだ主流ではないですが、一部では対面授業を受けられない生徒に対し、ネットを通じてオンライン授業を行う学校が増加しています。通学ができず出席日数が足りなくなることを防ぐ目的もあり、利用した生徒からは喜びの声が上がっているようです。
文部科学省では入院中の生徒の支援にも力を入れており、これからますますオンライン授業が活発になることが想定されます。
〈参考資料・記事〉
青森県では2020年から不登校生徒の割合が減少しています。その一番の理由はオンライン授業の導入だといいます。感染症による長期的な休講が遠隔授業を導入するきっかけですが、そうすることでほぼ全ての生徒が公平に授業を自宅で受けられるようになりました。
その結果、週1回程度、学校に来てプリントなどを受け取って帰る状況にあった不登校の児童生徒の75%がオンライン授業に参加し、この内90%が2020年5月25日の学校再開とともに登校するようになりました。
・「オンライン授業」導入後に“不登校”から“登校”できた市立中学校の生徒がほぼ倍増…理由を青森市に聞いた|FNNプライムオンライン
羽茂高校では試験的に遠隔授業が実施されました。羽茂高校での対面授業の様子を、生徒数の少ない佐渡市内の学校にも映し、同時に授業を行うというものです。
授業を行なった教師からは「生徒の視線、微妙なしぐさまでは見えない。教えていることが本当に伝わっているかわからない」という声があり、一方で生徒からは「生に話しかけづらいし、質問しづらい」「タイムラグがない対面の方が受けやすい」という意見もありました。しかし、この遠隔授業により過疎化が今後進むであろう地域の学校で、安定した授業を実施ができることが証明されたことにもなります。
飯南高等学校ではインターネット利用によって他校とのオンライン交流を行い、オンラインディベートを行いました。『生徒会の活動』というテーマで、お互いが行っている取組みや取り組む中での難しさを共有する機会を持ちました。参加した生徒からは「とても楽しかった。今度はオンラインではなく直接会って話をしたい!」「お互いの高校から意見を出して連携した取組みが出来ればいい!」と、オンラインでなければ交流が難しかった相手との良質なコミュニケーションをとることもできたようです。
・【生徒会】他校交流を実施しました | 島根県立飯南高等学校
オンライン授業を実施するためには、
など、さまざまな確認・準備が必要となります。
しかし、これらの準備を行うことができたら本格的にオンライン授業を開始することが可能となります。
ただし、「オンライン授業は集中力が持続しにくい」「映像や音声が途切れることがある」「実習や実験を行うことができない」などの問題点もあります。
〈参考資料・記事〉
オンライン授業を実施している学校はまだ全体の半数以下です。ということは対面授業だけの学校がまだまだ多いということです。お伝えしてきたように、オンライン授業にはIT社会へ強い人材の育成、入院中・不登校の生徒のため、小規模校との授業共有など、実施するメリットが多数存在します。
でも、『対面で会った時のコミュニケーション能力の低下』『電子機器の使用時間の増加に伴うネット依存』『対面授業よりも授業の効率が低くなること』などが理由で、対面授業だけでも十分な教育ができるためIT授業は不要と考える方も一定数いらっしゃるのも事実です。
しかしながら、休講せざるを得ない事態がまた訪れる、または怪我や病気・心の傷で授業を受けられない生徒がいつ出てしまうかわかりません。何か起こったときにすぐ対応し、オンライン授業を行えるようにしておく必要は今後出てくるのではないでしょうか。
そのため、感染症の蔓延が落ち着いたとしても、元通りの対面授業だけに戻すのではなく対面授業とオンライン授業のバランスを検討しつつ、ハイブリッド授業を行なっていくことをおすすめします。
また、オンライン授業を実施した際には多くの課題やストレスがあったようです。例えば、「コミュニケーションがうまくとれない」「生徒が寝ている・内職などで聞いているかどうかよくわからない」など、その他には、機器の操作やインターネット回線にまつわる不慣れさも問題です。これらの問題を順番に解決し克服することも今後の課題でしょう。
(ライター:堀内 香菜)