いつか枯渇してしまう、石油や石炭、天然ガスといった限りある地球上のエネルギー資源。
一方で、世界の人口はどんどん増え続け、インドや中国など新興国の経済成長も加速していくなかで、ますますその需要は高まっていくと見られています。
しかし、このまま使い続けていけば、約150年以内には使い果たしてしまうといわれるこれらの化石燃料は、深刻さを増す地球温暖化の主な原因にもなっていることから、いま世界はクリーンなエネルギーへの転換を迫られつつあります。
太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスなどを使用した、「再生可能エネルギー」。
自然界に常に存在し、従来の石油や石炭などの資源に代わる「温室効果ガスを排出しない」持続可能なエネルギーとして関心を集め、近年、各国の企業や市、自治体などで導入する動きが広がっています。
とくに資源の乏しい日本では、エネルギー自給率を改善できる、重要な国産のエネルギー源としても関心を集めています。
日本のエネルギー自給率は、わずか9.6%。(2017年時点: 経済産業省資源エネルギー庁)
国全体及び1人あたりの消費量ともに、電力消費量が世界第4位であるにもかかわらず、そのほとんどを海外からの輸入に頼っているため、国際情勢や価格変動に左右されやすいという脆弱さがあります。
さらに、輸入しているエネルギー資源の8割以上を占めるのが、石油・石炭・LNG(液化天然ガス)などの化石燃料です。
東日本大震災以降、原子力発電所の稼働停止によってエネルギー自給率が下がるにつれ、化石燃料への依存度も増しており、それにともないCO2の排出量は、2013年度で過去最高の排出量を記録しました。
世界的な潮流となっている「脱炭素」の流れを受け止め、これまでの化石燃料への依存を脱却し、持続可能なエネルギーの導入を検討していくという姿勢が、いま国際社会からも求められています。
太陽光や風力などといったエネルギー源には、季節や天気などに左右されることや、発電コストの高さなどの課題もあるといわれていますが、個人や企業で電源を自ら選んでいくことによって、再生可能エネルギーが主力電源となる社会へ変わるための流れをつくっていくことができます。
自然エネルギーが中心となった持続可能なエネルギー社会にむけて、電力(パワー)のあり方を変えていく「パワーシフトキャンペーン」に参加することもその1つ。
国内では2016年から、電力の小売全面自由化が始まったことで、一般家庭を含むすべての消費者が自由に電力会社を選べるようになり、以降次々と新たな電力会社も登場してきています。
「顔の見える電力」の販売を行う「みんな電力」は、電気の生産者と消費者をつなぐ再生可能エネルギー由来の電気を安定供給しており、そのビジョンに賛同する企業が次々と導入を進めています。
株式会社ラッシュジャパンは、そのうちの1社。
「リジェネレイティブ(再生可能)」という考え方のもと、化粧品の動物実験廃止、パッケージを必要としない固形商品の開発などで⼈・動物・環境に配慮したビジネスを展開している同社では、神奈川・厚木にある本社兼工場を、みんな電力に乗り換えています。
可能な限り再生可能エネルギー由来の電力を使うこと、そうしたエネルギーの普及に貢献することが、企業の責任のみならず、スタッフや顧客を含め誰もが持つべき責任と考えていると、乗り換えの理由について述べている同社。
電力の小売全面自由化がスタートした2016年には、外部専門家を招いてエネルギー・電力自由化についての社内研修を行ったほか、『電気の原材料を選ぶ!エネルギーキャンペーン』を、日本全国のラッシュ店舗とオンラインで実施しています。
このような取り組みを通し、どの電気を選ぶかを顧客と一緒に考える機会をつくることで、再生可能エネルギーの普及に貢献しています。
Image by みんな電力
同様に、みんな電力でパワーシフトした「BEAMS JAPAN」は、2019年の8月から期間限定で、史上初となる“電気”の店頭販売イベントを新宿店舗で行いました。
みんな電力と協業して電気をセレクトすることで、『今や電気も”モノ”である』との認識を、イベントを通して発信。
また、“電気にも産地がある”ことを知ってもらうため、キュレーションした3つの電力会社を、各地域の特産品と一緒に販売したというこのユニークな試みは、電気の生産者と消費者をつなぐみんな電力と、日本をキーワードに、独自の目線で「食」「銘品」「ファッション」など幅広いカテゴリーのコンテンツをキュレーションするBEAMS JAPANならではの、それぞれの特性を活かしたイベントとなっています。
BEAMS JAPANでは2018年8月より、東日本大震災の復興支援のため、主に福島県南相馬市の野馬土発電所の電力を、みんな電力を通じて東京の3店舗で使用しています。
人や社会、環境に配慮した消費行動を指す「エシカル消費」という言葉が浸透し始めたように、これからは電力も選んでいく時代であるということを示している各企業の取り組み。
自ら使用するものをどう選ぶかということは、企業や個人の意志や考え方を表すことになると同時に、再生可能エネルギーが主流となる社会を後押しするための流れをつくっていく行動ともなります。
(ライター:Sara Sugioka)
<参考記事>
「BEAMS JAPAN」にて<みんな電力>と協業した史上初となる電気販売イベントを開催( BEAMS)
日本のエネルギー事情(関西電力)
2019—日本が抱えているエネルギー問題(経済産業省)