日本全体で、年間どのくらいの量のゴミが発生し、その処理にいくら税金が投入されているか、ご存知ですか?
環境省の最新のデータによると、平成30年度のゴミ総排出量は4,272万トン(東京ドーム約115杯分)!1人1日当たりの排出量は918グラムで、私たちは毎日約1キロのゴミを生み出していることになります。これらのゴミを処分するのにかけられた費用は2兆円に上り、全て税金です。
このうち食糧廃棄物は2000万トン以上なのですが、これを未利用有機資源と捉え、有効活用することに社会的関心が高まっています。
実際、2019年7月には農林水産省による「食品リサイクル法に基づく新たな基本方針」が公表され、自治体レベルでの取組みが広がっています。
その方法の1つが「コンポスト(たい肥化)」です。
生ゴミを米ぬかや落ち葉と一緒に土に混ぜ込み、熟成させることで、微生物がゴミを分解して肥料に変えます。ゴミ処理費用と、焼却や埋め立てによる環境負荷を減らし、天然肥料も得られる一石三鳥の方法なのです。
2020年7月1日、バーモント州でアメリカ国内初のコンポスト法が施行されました。それにより、州内の全ての住民、レストラン、スーパーマーケット、企業は生ゴミをゴミ箱に捨てることを禁止されました。ここでいう生ゴミとは野菜の皮や種、卵の殻、コーヒーかす、食べきれなかった食事など全てです!
バーモント州は土地の7割以上が森林で、農業従事者も多いため、昔から環境保護の文化が根付いています。また、バーモント大学の研究によると住人の72%はすでにコンポストの習慣があり、この法律はスムーズに導入されているようです。
国連食糧農業機関は、世界中で毎年約3.3ギガトンの温室効果ガスが食品廃棄物の処理によって排出されていると推定しています。バーモント州当局によると、生ゴミの埋め立てを止めることでメタンの排出量を大幅に削減できると発表しました。
さらに、一人当たり毎年約370ドルの節約になるという経済的メリットや、各企業や店舗がすぐゴミになる製品を作るのではなく、循環できる商品やサービスを作るように促す効果もあると言います。
バーモント州に次いで、サンフランシスコやシアトルなど他のいくつかの州でも同様の法律が制定されています。
国内でもコンポストを導入する企業や、家庭へのコンポスターの配布・補助金を行っている地方自治体が多数あります。お住まいの地域でこうした取り組みがないかぜひ調べてみてください!
例)
・『生(いき)ごみ小田原プロジェクト』小田原市
・『生ごみブレン土プロジェクト』横浜市
・『生ごみ肥料化容器等の購入に対する助成金』木更津市
とはいえ、「コンポストって庭や畑がないと出来ないのでは…?」「段ボールコンポストなど聞いたとこはあるけど、臭いや汚れが気になりそう…」という方もいるはず。
しかし、実際はお家やオフィスで手軽に始めることが出来るんです!以前、OGのオンライン講座「Stay at home, Eco at home」にも登場したLFCコンポストは、お洒落に簡単にコンポストに挑戦できます。
悪臭や虫の発生を抑える独自設計のコンポストバッグに生ゴミを入れ、熟成したらバッグごとプランターとして植物を栽培することができるのです。
詳しくは、オンライン講座のレポート「LFCコンポストのたいらさんに食の循環を学ぶ!オンライン講座「Stay at home, Eco at home」開催レポート」をご覧ください!
実は私も、コロナの影響で家にいる時間が増えたので、4月から庭の隅に穴を掘りコンポストを始めました!
毎日出る生ゴミをすぐ処理できるので、キッチンを清潔に保てます。また、数日前に入れた野菜のくずなどが分解され小さくなるのを見るのが思いのほか面白い!最近は、できた堆肥を与えて育てたトマトやキュウリが食卓に並ぶようになり、日々の喜びが増えました!
少しの手間で、自然のエネルギーや食の循環を生活に取り入れることができます。
地球全体でみたら膨大な量になるゴミでも、家庭や会社の中で小さく循環させることで減らしていくことが出来るのではないでしょうか?
(ライター:鈴木さやか)
・「一般廃棄物の排出及び処理状況等(平成30年度)について」(環境省)
・「我が国の食品廃棄物等及び食品ロスの発生量の推計値(平成29年度)の公表について」(環境省)
・「食品リサイクル法に基づく新たな基本方針の公表等について」(関東農政局)
・「Vermont Is First State To Ban Throwing Food Scraps Into The Trash」(HUFFPOST)
・「Banning Food Waste: Lessons for Rural America」(The University of Vermont)
・「Food Wastage Footprint & Climate Change」(FAO / 国連食糧農業機関)
・「生(いき)ごみ小田原プロジェクト」(小田原市)
・「生ごみブレン土プロジェクト」(横浜市)
・「生ごみ肥料化容器等の購入に対する助成金」(木更津市)
・「LFCコンポスト – 生ごみから美味しい野菜をつくるコンポストをはじめよう –」(LFCコンポスト)