アンバサダー紹介コラム

Operation Greenアンバサダー紹介 Vol.2 持続可能な未来へと導く 教育分野のパイオニア・永田佳之教授

2020.09.08

未来を創る組織のエコシフトをナビゲートするOperation Greenでは、2020年度より、このプロジェクトに専門的な立場から関わっていただく「アンバサダー制度」を導入いたしました。この記事では、環境に関する各分野で最前線で活躍されているOperation Greenアンバサダーのみなさまのプロフィールや、活動内容をご紹介させていただきます!

第2回は、国連総会でSDGs実現のための教育として位置づけられたESD(持続可能な開発のための教育)を専門として気候変動などの地球規模課題に取り組み、持続可能性をテーマにした学生たちのスタディツアーも毎年実施している聖心女子大学の永田佳之教授です。

持続可能な未来へと導く教育分野のパイオニア

Operation Green アンバサダー 永田佳之教授

【プロフィール】

聖心女子大学現代教養学部教育学科教育学専攻教授/聖心グローバル共生研究所副所長。「国連ESDの10年」モニタリング評価専門家委員会委員、ユネスコ/日本ESD賞国際審査委員会委員を歴任し、現在はアジア学院評議員、子どもの権利を守るNPO法人フリースペースたまりば理事、日本国際理解教育学会副会長などを務める。1962年生まれ。2004年、国際基督教大学大学院教育学研究科博士号取得。国立教育政策研究所、ペラデニヤ大学(スリランカ)客員研究員などを経て、07年から現職。「豊かな教育社会とは」をテーマに、ESD、国際理解教育、多文化共生、オルタナティブ教育、ホリスティック教育、国際比較教育などに取り組む。近年は気候変動などの地球規模課題やSDGsをテーマにした学生たちの海外スタディツアーを毎年実施している。『変容する世界と日本のオルタナティブ教育 生を優先する多様性の方へ』(世織書房)、『気候変動の時代を生きる 持続可能な未来へ導く教育フロンティア』『ハーモニーの教育 ポスト・コロナ時代における世界の新たな見方と学び方』(共に山川出版社)など、著書多数。

子どもたちのために、持続可能な社会にするために、
気候変動問題を何とかしなければ

教育学を専門とし、「現代のみならず、子どもたちの未来にも大きな影響を及ぼす気候変動は現世代の将来世代に対する応答課題であり、また豊かな国の途上国に対する責務である」という思いをもっていらっしゃる永田教授。

2019年には著書「気候変動の時代を生きる 持続可能な未来へ導く教育フロンティア」(山川出版社)で、日本ではあまり知られていない、気候変動問題や気候変動教育の世界の最前線を伝えるとともに、地球温暖化の進行を防いで持続可能な未来へと導くために、個人や組織でできるアクションを紹介されています。

研究室でも、パタゴニアやエシカル協会など、企業や民間組織とのコラボレーションに学生たちに積極的な参画を促し、スタディツアーではスリランカやナミビア、オーストラリアのカンガルー島*など、気候変動による深刻な問題が起きている国を訪れ、その解決に挑んでいる人々と交流しています。

 

【写真】スリランカの貧困村でのゴミ分別ワークショップ

「スタディーツアーでは、学生たちはスリランカの子どもたちと一緒に村でエシカル・ファッションショーを開催したり、地球規模の問題解決に足元から挑んでいる大人と豪州やアフリカ大陸で出会ったり、『希望を分かち合う営み』を実感しています。地球規模の問題が日常化した予測困難な時代だけど、世界は生きるに値するんだという実感が持てる社会。それを世代や人種の壁を超えて共有することの大切さを伝えたいです」

とおっしゃる永田教授の言葉には、人類が直面する最大の課題の1つといわれる気候変動に対しても、あきらめたり、他者や他国を責めたりするのではなく、皆で前向きに取り組んで解決しようという、まさにOperation Greenと共通する思いが現れています。

*カンガルー島:オーストラリアの南方に位置する人口約4,000人の島。島ぐるみで再生可能エネルギーを取り入れるなど、気候変動に対する積極的な政策と実践を行い、自然と共生する暮らしを目指している。

サスティナブル・コミュニティの本質を目指して

永田教授が今、最も関心を持っている研究テーマは「サスティナビリティ の本質」への探求と実践

「これまで欧米を中心に『エコスクール』など、さまざまなスタイルのサスティナブル・スクールの概念が唱えられてきましたが、中には、グリーンカーテンを付けたり、太陽光パネルを設置したりすることで良しとする学校もあります。でもポスト・コロナ時代に大切なのは世界の見方や捉え方そのものの問い直し。英国発の『ハーモニーの教育』(山川出版社)に実践例が描かれているのですが、人間は自然界の一部であり、また人間も自然そのものなのだという認識がきちんと育まれているかどうか、です。その一つの現れとしてであれば、グリーンカーテンも太陽光パネルもアリなのだと思います」

 

【写真】ナミブ砂漠で究極のサスティナビリティ を考えるスタディツアーにて

近年、気候変動をめぐる問題が大きく取り上げられるなかで、「国連ESD(持続可能な開発のための教育)の10年」でも「気候変動教育」が重視されてきました。しかし、日本は、エネルギー政策や気候変動対策など、「環境後進国」と言われても仕方ないのが現況です。気候変動教育も例外ではありません。

しかし、大学の研究室でも気候変動も含めたESDに取り組む永田教授は、今の学生に対して希望を感じています。

「これから社会へ出る学生たちには、将来への危機感、若者なりの正義感を感じています。著書『気候変動の時代を生きる』の帯に、「1人の100歩より、100人の1歩らしいよ…』という言葉を入れましたが、そうした学生が増えている実感はあります。彼(女)らに共通しているのは自然体でできるところから取り組む姿勢です。

例えば、『ペットボトルの飲み物は絶対飲まない』ではなく、一人が1本減らすことを考える。

気候変動の状況はたとえ深刻でも、それに対してしなやかに向き合い、問題解決へのプロセスを楽しんでいるように感じます」

「絶対にこうでなければ」とストイックに取組むのではなく、無理なく、できることから、みんなで取組む。永田教授がおっしゃり、そして取組んでいらっしゃることも、まさにOperation Greenが目指すあり方そのものでした。

 

永田教授からOperation Greenへ!

次世代につなぐ未来のために、持続可能な社会にむけて、無理なくできることから、みんなで取組もうという共通の思いをもつOperation Green のアンバサダーのみなさま。永田教授からは、Operation Greenとのこれからの活動について、こんな素敵なメッセージをいただきました!

「これまでにお会いしたEarth Companyのスタッフはとても魅力的な方々ばかり。彼らのワークスタイルやライフスタイルと、組織のミッションが首尾一貫しているところに惹かれ、アンバサダーをお引き受けしました。

この15年ほど従事してきたESD(Education for Sustainable Development)という国際教育運動では、『サスティナビリティ について教えるなら、校舎・校庭やキャンパスで実践しよう!』というモットーを掲げて、WIA(Whole Institution Approach)を試みてきました。

でも学校だけだと限界かな…と思っていた矢先に、お声掛け頂いたのがOperation Greenでした。企業でも学校でも地域でも“組織まるごとサスティナブル”を広めていくのに、微力ながらお手伝いをさせていただければ、と思っています。

“どこを切ってもサスティナビリティ”となるように、適切なガイダンスを共有しつつ、当事者の事情や課題に合わせて伴走していく。その結果、日本の企業や学校のまず1割がOperation Greenに本気で取り組むようになり、徐々に全体も変わり始める…そうなるといいですね。

でも、目標に向けて頑張るというよりも、楽しみつつ進めたいという気持ちがあります。その方が広まった裾野も定着するのかな、と思っています。with コロナの社会になって社会の『あり方』自体がエコロジカルになれるかどうかが問われているのでしょう。『持続可能性の文化』(カルチャー・オブ・サステナビリティ)が日本社会に浸透する端緒が、Operation Greenを通して開けていけるよう、僕もその一助となれれば幸いです」

これからも広がるOperation Greenの輪に、ご興味のある方はぜひ担当までお気軽にご連絡ください!

お問合せはこちらから

 

<参考>永田教授の研究室からの発信

サスティナブルキャンパス構想報告書

気候変動教育のプラットフォーム

SDGsを実現する教育=ESD特集(大学院ゼミ研究室からの発信)

学生のアクション(パルシステムのインタビュー)

「気候変動特集」のワークショップ展示スペースBE*hive(バーチャル展示)

ナミビア・スタディツアー報告書


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