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【導入事例】サステナブルな学校作りをプロジェクトベースド ラーニングで実現|昭和女子大学附属昭和中学校・高等学校

2024.05.17

Earth Companyが提供する、学校のサーキュラーシフトを実現するための「インパクトアカデミー実践型プログラム」。学校の環境上の課題や現状を見える化し、学校をサーキュラー化するためにできることを生徒自身が決めて行う実践型のプロジェクトベースドラーニングは、導入した学校で多くの生徒さんが「自分たちで変化を起こせること」の楽しさを感じ自己効力感を高めています。

今回は、生徒にとって最も身近な「学校」を教材として、2年間にわたり、全校生徒と職員が取り組んだ昭和女子大学附属昭和中学校・高等学校での事例を紹介します。

プログラムの概要

昭和女子大学附属昭和中学校・高等学校では、2022年度にサステナブルな学校作りに取り組むプログラム「オペレーション・グリーン(Operation Green)」をスタート。アースカンパニーの研修プログラムを導入し、学校の環境負荷を下げるために、初年度は隣接するブリティッシュ・スクールの共同プロジェクトとして、64名の生徒たちによって課外活動を始めました。

取り組み内容と成果

プロジェクト実施にあたって掲げたスローガンは、「Toward Our Well-being: Soil, Soul, and Society:地球、人、社会のウェルビーイング(健康、平安、幸福)」を目指す、というもの。「人は自然の一部であり、切り離されてはいない」「人と自然が繋がり合う、自然・いのちの営みを守る」という根源的な自然観・世界観を育んでいきたい、という理念が背景にあります。

世界の課題を学び、自分たちにできる取り組みを考える

2022年は、まずはじめに、地球環境保全をめぐり、世界と日本が置かれている状況や、国内外の学校の先進的な取り組み事例について学びました。そして、学校全体で取り組むことのできる活動を、学校へ提案するべく、グループごとに話し合いました。

活動を絞り込む際には、以下の3つの問いをたてて、思考と議論を深めました。

・Goal:その活動によりどのような社会的インパクトを生み出したいのか。
・Why:その活動を行う理由。つまり、その活動は、どのように国や世界規模の環境問題とつながるか
・Root causes:その課題が存在する理由は何か。ゴール達成に向けての障壁は何か。

そして、議論の結果、「1.廃棄物削減」「2.CO2削減」「3.基盤づくり(校内研修や啓蒙活動など)」という3つの取り組みを重点的に、2022年度の後半から行うことに決めました。

アース・カンパニーによる研修プログラムの提供は2022年のみでしたが、2023年にはその学びを活かして自主的な課外活動として継続し、ウォーターサーバーの導入などの成果を上げました!次にその成果を紹介します。

生徒主導で決まった3つの取り組み

1.廃棄物の削減・管理

「廃棄物の削減・管理」に取り組むグループでは、紙資源の分別強化と、ウォーターサーバー導入による自動販売機での飲料購入によるプラスチックの削減に取り組みました。学校へ生徒自身が提案を行い、2024年1月にはウォーター・クーラーが7台設置され、運用を開始。1〜3月には、マイボトル持参のキャンペーン「マイボトル・チャレンジ」を生徒が呼び掛けて実施しました。

その結果、14日間で実に2130本のペットボトルを削減することができました。これはCO2に換算すると253.5kgを削減したことになります。マイボトルを持参することで、ペットボトルを週5日購入した場合と比べて、CO2排出量を10分の1に抑えることができるそうです。

2.CO2削減

CO2の排出量源と量を見える化できるツール「カーボンダッシュボード」(アースカンパニーにて発案・運用)

①CO2排出量の見える化

「CO2削減」に取り組むグループでは、まず学校内のどこからどれくらいCO2が排出されているのかを調査し、見える化を行いました。その結果、月26万kgのCO2を排出していることがわかりました。26万kgのCO2は、スギの⽊1万9000万本に相当するそうです。

さらにその内訳として、96%が「電力消費」に由来していることがわかりました。

この結果を受けて、省エネキャンペーン「カエル・キャンペーン」を展開。カエルのイラストを使った生徒作成のステッカーで、校内での省エネを呼びかけました。「カエル」には、意識を「変える」、電気を「切り替える」、学校から「帰る」ときのチェックという意味が込められています。

具体的には、校内のエアコン温度の設定への配慮、電気やエアコンのスイッチの消し忘れへの注意喚起を呼びかけました。

②学校への省エネ施策の提案

エアコンの設定温度を守りつつ、暑い夏でも快適に過ごすための8項目にわたる提案を、学校へ提出しました。

暑い夏を、より省エネで、より快適に過ごすための提案(生徒作成の資料より)

③「太陽光パネル」の増設の提案

また、自然エネルギーによる校内発電ができる「太陽光パネル」の増設を学校本部に提案しました。

 

3.基盤づくり

「基盤づくり」とは広報・啓蒙活動です。オペレーション・グリーン活動の背景にある理念を探究し、インスタグラムで、学校内外に活動内容を発信するとともに、イベントの企画・運営も行いました。

①「カーボン・ニュートラル」体験ワークショップ

2024年1月、「カーボン・ニュートラル」の体験ワークショップを開催。カーボンニュートラルを理解し、カードゲームを通して、2050年の私たちの日本がどうなっているか、疑似体験することで学びを深めました。

参加者は、企業や政府、金融機関などのプレイヤーに扮して、二酸化炭素削減・回収の方法、それが社会や地球環境に及ぼす影響を疑似体験しました。それぞれの活動によって、地球全体のCO2がどう増減するかをシミュレーションし、環境と経済の好循環を起こすにはどうすればよいのかを考えるきっかけになったそうです。

②British School in Tokyo 昭和との交流会

2024年2月には、同じ敷地内にあるBritish School in Tokyo 昭和との交流会を実施。両校で行っている取り組みを紹介し合い、今後のコラボレーションの可能性も探りました。

③世界の課題とリジェレネーションについての講演会

同じく2月に、オペレーション・グリーン活動を支援するアースカンパニーの最高探究責任者、濱川知宏を招いて講演会を開催。気候変動など世界の現状を学ぶとともに、リジェレネーション(Regeneration、再生)というオペレーション・グリーンの基本理念について、理解を深めました。

全校での成果

2023年度は活動2年目となり、上級生だけでなく、中学生や高校1年生も積極的に活動する生徒が増えたそうです。学園祭「昭和祭」の時期には、「資源節約」や「ゴミ分別」について、全校放送で呼び掛けるなど、啓蒙活動が行われました。中学2年生が、色紙(模造紙)のリサイクルBOXを作成して、全校に設置するという取り組みもありました。

学園祭で生徒が設置した、色紙のリサイクルBOX

生徒の感想

2年にわたるオペレーション・グリーンプロジェクト。自主的なこの活動に積極的に参加し、様々な気づきを得た生徒たちの感想を紹介します。「全校生徒の環境に対する意識が大きく変わった。学校を持続可能にするために、私自身が何をすることが出来るのかを知ることが出来た。また、話し合いを積み重ねていく上で、アイディアを考え出す発想力が着いたと思う」

「問題を解決するためにアイディアを出し合い議論することで、自分の意見をもつということの練習になった。日本だけではなく、世界の環境問題に関する知識が増えた。現在の学校の状況を数値に出して可視化したりどのような対策が取られているのかを考えることで、自分たちの学校の良いところや他の学校と比べて遅れているところなどを理解することができた」

今後の活動

2年間のプログラムを通して、生徒たちが様々な取り組みにおいて、主体的に考え、行動していることがわかります。

まず世界レベルの課題と自分たちの生活とのつながりを「知る」ことから始まり、プロジェクトベースドラーニングのなかで、生徒たち自身が変化を起こす「楽しさ」を体験し、それが「自信」につながり、すばらしい成果が表れています。

昭和女子大学附属昭和中学校・高等学校では、2024年度も活動を継続。3年目となる今年は、生徒ひとりひとりが「自分ごと」として環境アクションをとれるように支援していくことが目標だと言います。「全校アンケート」を実施し、エアコン温度設定や紙分別強化についてみんなの意見を聞き、「合意形成」を進めようとしています。

また、全校生徒・教職員から「My Action Plan」を募り、校内や家庭でできるアクション・プランを全校で共有します。それをもとにオペレーション・グリーン活動をしている生徒たちが企画を考えていきます

環境にかかわる課題に対して、ポジティブなマインドセットでアクションしていく今後の活動も、とても楽しみです!


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